(二)-13

 そこも突っ込むのを止めた。うっかり実験のことや彼の父親の事に触れてしまうと、彼の口数が増えたりしそうだったからだ。

 それなので、私は「じゃ、先に理科室に戻るね」と準備室から理科室を出ようとした。

 するとこれも妙な話なのだが、彼が私に「なあ」と声をかけてきた。私の名前を呼ばないのは私の名前を知らないからに違いない。彼は他人に興味がないタイプだと思うから、きっとクラスメートの名前はほとんど知らないはずだ。


(続く)

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