(二)-5

「校舎を改造すれば入るでしょ」

「こんな地方の公立高校の建物じゃ足りないよ。建物だけじゃない、予算だって足りない」

 私はそんなやりとりをする二人を見て驚いた。スグルが他人とまともに言葉のキャッチボールをしているのだ。

 級友らに話しかけられても、彼はせいぜい「ウルセー」とか「知らねえ」とか「興味ない」などと一言二言を返すだけだった。

 そんな彼が今、助詞や副詞を含む複数の品詞と複数の単語を駆使した日本語を話しているのだ!


(続く)

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