僕が見上げる空
僕は今日も外界の音を遮断し、空を見上げる。
視界いっぱいに広がる青い空。
その澄んだ青さは否応なしに僕の心を高揚させてくれる。
まさに砂漠のオアシスだった。
曇りだろうが雨だろうが、朝だろうが夜だろうが変らずに美しい一面を見せてくれる空は特別なものなどではなく、常にそこにある。
ただ空を見上げことを止めた人たちは絶対に気が付かない。
そんな幸せ。
僕はその澄んだ青さを、当たり前にある幸せを知っている。
その純然たる青さは僕に、僕たちに優しく降り注ぐと僕たちを包み、照らしてくれている。
僕は何度もその光に勇気をもらった。
だから僕は空を見上げる。
空を見上げている時だけ、僕は未来に希望を馳せることができる。
想像の未来では僕は何者にだってなれるし何だってできる。
だけどそんな時間は長くは続かない。
すぐにこの退屈な現実に引き戻されてしまう。
空が運んでくれる幸せは蝶が運んでくる花の香りのような刹那の幻惑であり、簡単に夢散してしまう。
この退屈な現実には何もない。
僕が生きているこの世界は平和で平凡。
絶望はないがその代償として幸福もない。
物に溢れ、実体のあるものからしか幸福を得られない僕たちは乏しい感性しか持たず、隣にある幸せに気が付けない。
僕たちの心からは豊かさが消え、偽りの幸福を求める歪んだ社会が出来上がった。
そんな中で僕は何に幸福を見出せばいいのだろうか。
空を見上げながら僕は答えの出ない問いに突き当たるのだった。
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