僕
僕には父親しかいない。
僕がまだ小さい頃に母親は他界したらしい。
正直に言って母のことはあまり覚えていない。
だから”かわいそう”という感覚がよくわからない。
初めから持っていないものを無くしたところで持っていたことを知らないから何も思わないし感じない。
僕にとっては家族の中に母親が居ないことが当たり前でそれが僕にとっての普通であり、日常である。
だから僕は自分のことを不幸だとかかわいそうと思ったことがない。
それなのにどうして周囲の人達は母親が居ない=かわいそう、不幸だと決めつけるのだろう。
他人の価値観で勝手に僕のことを決めつけられることが僕は嫌だった。
僕の幸せは僕が決める。
僕は一人が好きだ。
同情を押し付けてくる大人やうるさい同級生の相手をしなくてもいい。
一人は静かだ。
音楽で外の音を遮断し、空を見上げる。
そうすればいつだってどこまでも高く、広い空がそこにはある。
視界いっぱいに広がる空を見ているだけで僕は幸せだ。
それ以外には何もいらない。
空以外は全て同じ灰色で雑音に溢れている。
そんな世界が僕は嫌いで、そんな世界に僕は生きている。
だから僕はこんな世界からは早く消えてしまいたいと思う。
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