第9話喜び

見えない扉を描くより あなたに忠実な扉を描こう


私は知っているから あなたの描く真っ白なキャンパスを


知っているから


待っている いつまでも待っている


キャンパスが少しずつ色づくのを


幾らでも時間を無駄にして良いんだ


世界はそんなに知らないのは理解している


しごく当然な事だけれど


あなたの絵が完成すれば


私はどうしているでしょう


今はあなたの心に宿っています


形はありません 形はまだありません


あなたが私をかあっちにするのですから


キャンパスはまだ真っ白 何をためらわれているのですか?


あなたの世界が 私の世界なのです


私を形にして下さい


その真っ白ななキャンパスを手に取って


水かもしれなせん


風かもしれなせん


緑かもしれません


私達はなんでも良いのです


数えきれない私達が 変わる瞬間を待っています


あなたの描いた絵の中で


私達は生きるのです


そして終わりはなく


何度も何度も繰り返されるのです

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