あるがままに


最終列車に飛び込んだ若者


座る事なく 立ち尽くしたまま眠った


そんな彼に興味を抱く者などいない


皆疲れているのだから ひどく疲れているのだから


動きだした列車が彼を動かす


壁にぶつかり 彼は痛みを覚えないまま


深い眠りに落ちている


ゆるやかな列車のリズムが 彼を焦らせるけれど


彼はまだ眠っている 彼はまだ眠れている


ホームにたたきだされた事さえ知らず


車掌の迷惑そうな顔さえ知らず


冷たい風が 何度も彼をうちつけるけれど


彼を眠りから 現実に誘う事はできない


彼もまたひどく疲れているのだ


彼が目を覚ました時 当然のごとく


辺りには誰もいないように思えた


彼はただ無意識に 線路を歩きだした


あるがままに

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