恋はフラグから
「なら協力して」
死神さんは目をぱちぱちする。呆気に取られている。
深呼吸をし、どこからか取り出した煙草に火をつけようとした。
「校内禁煙」
と言って煙草を取り上げた。
「いやいやいや、何で普通に要請しているんだ。死神だぞ?タバコでも死なない死神さんだぞ?」
「は?」
思わずドスのきいた声が出てしまった。学校が禁煙なのは当然でしょ?二次喫煙なめんな。
でなくて。
「恋なんて知らない人に恋を教えろなんて無理難題以外なんだっていうの?手伝わせるの当然でしょ?」
「お、おう」
「とにかく、男子は恋に落とせるとしても女子はハードルが高くなるわ。そもそも落とせと言われても、色仕掛けとかゲーム知識が関の山よ?」
「それで手伝え、か。まぁ、納得はした、手伝おう。面白そうだしな」
晴天の空の下、死神さんは底知れない闇がある嘲笑を浮かべながら握手を促す。
握手を交わした私たちは作戦会議を始めた。
死神さんは屋上の柵に背を預け、私は寄りかかって校庭を見渡す。昼休みであり、日陰とかで生徒たちがお弁当を食べている。
「で?君は先に誰を落とすんだい?」
死神さんはにやけながら話を切り出す。むかつく。
「私は落とさないわ。恋愛脳になって他に頭が回らなくなったら元も子もないでしょう?」
「クヒヒ、それは残念、残念だ。だが、どうやって達成する?」
「ほかの男子生徒をあてるわ。パッとしないけどお人好しなのがいいわね」
「...もろ美少女ゲームじゃねぇか」
クラスの生徒たちを思い浮かべる。該当する生徒は二人ほどいる。
一人は窓際の一番後ろの席、の手前。眼鏡キャラだったけど、普通に私たちに興味を持っていたし、平凡そうな性格をしている。
もう一人は教室の後ろで扉のそばに座っていた。定番じゃないわね。
それに私たちに全然興味を持っていなかった。
思考を読んだかのように死神さんは思考に更けるようにあごに手を当てる。
「まあ、その二人は適任だろうな」
いや、確実に思考を読んでいる。奇跡を起こしている以上、驚くことではないけど。
「で、その二人を引き込むのか?」
「ええ、二人と編入生たちを引き合わせるわ。幸いに一人は委員長、もう一人は図書委員だからフラグを立てるのに最適でしょ?」
「うむ、納得だ。しかし一つだけ言いたい事はある」
「何?」
「いい加減に特徴ではなく名前を覚えろ」
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