第94話 シャーロットを語る相棒たち

「シャル、あなたの服を作るから、体を触るわよ」

「どうぞ」


 アイリーが目の前でシャーロットの身体測定を始めた。声に出している。


 身長158㎝

 体重41キロ

 胸周りはBマイナスでいいか

 腰回りは細いわね、ちゃんと食べている?

 尻周りは私より細いじゃない、ベルンが嘆くわ。


 足のサイズは22

 足が長いわね、あなたも。

 下着の色は何色がいい?黒?エルフが黒なんて履かないでしょう。まあいいけど。


 然し髪の色は金髪というより、白に近いのね、不思議。眉まで白いと変よ。少し濃いほうが可愛いからメイクしてあげるわ。瞳の色に合わせましょう。深緑ね。綺麗な切れ目だ事。


「いいわ、とりあえず、下着とパジャマを先に作る」

「うん」


 アイリーが浴室から出て行った。


 俺は、シャーロットの白い髪を洗った。泡が立ちにくいな。


「前回、髪を洗ったのはいつだ?」

「ん~5年位前かな」


 はあ?


「普段はどうしているんだ」

「クリーンで済ませている」


「見た目は綺麗だけど、相当汚れているぞ。泡が立たない」

「そうなの?ベルンが綺麗にしてくれる?」

「ああ、任せろ」


 三回洗ってようやく泡立ち始めた。常温で流して、リンスを髪につけ、その間に体を洗った。此方も泡立たない。5年かよ。垢すりしてみたいが今度にしよう。ボディブラシではなく、スポンジに液体せっけんを付けてゴシゴシ洗う。結局、体も三度洗って、泡だった。


 シャーロットでこれなら、村人エルフはさぞ汚れているんだろうな。この世界共通か。体も洗い流した。髪の毛のリンスも洗い流して、トリートメントを髪になじませる。ついでに化粧水もつけてやろう。自棄に乾燥肌だな。体に脂肪がないからか。


「肉を食べた方がいいな。もっと綺麗になれるぞ?」

「美しさには自信があったけど、アイリーとファリナは綺麗」


「素材は、みんないいから、磨き方次第だ」

「宝石みたい」


「ああ、それと同じだな、磨かないとただの綺麗な石ころだ」

「うふふ」


「よしいいぞ、ドライをかけるから、立って」

「立たせて」


 とことんオネダリ姫だな。


「いいぞ、俺は、彼女シャーロットを抱っこして浴槽から出た」

「ドライ」


「ああ、シャルは、生活魔法が何でも使えるんだな」

「そうよ、っふふん、褒めたたえて、凄いんだから」


「ああ、凄いな。初めて見たぞ」

「あまり驚いていない?」


「まあ、俺もアイリーも特殊な生い立ちだからな」

「ただの、村人に見えないはずね」


 乾いた髪と体、ベッドに腰掛けさせると、すでに下着とパジャマが用意されていた。


「着替えさせて」

「ああ、まずは、下着からか」


 右足を上げた。そこに履かせて、今度は反対側の足を上げさせる。ノーパンでも平気なようだ。不思議だな、エルフ。というかシャル。お前、ツルツルじゃないか。


 まあ、いいけど。


 おお、凄いな、王族パンツ仕様のオールシルク。裁縫スキルをコンプリートしているから、自分でも作ってみなよ。そういいたくなるアイリー製のショーツを履かせ、これまた肌触り最高品質のシルクの肌着に、ワンピース。短いな。足ほっそいな。


「よし、肉を食いに行こう」

「うん」


 俺は、ファリナにバトンタッチして、自分の体を洗うため風呂に戻った。


 ◇


「あら、シャル、随分とさっぱりとしたようね」

「うん、エルフの風呂よりも良い泡立ち」


「今日は、レベルアップで体中の体液が湧き出していたからね」

「ああ、それでね、やたら、ベルンに汚い汚いと云われたの」


「あなたたけじゃなくて、私たちも村人も、今日は全員、臭かったはずよ」

「へえ、大変な戦いだった?」


「ええ、わずか30分だけだけどね」

「え?30分で、レベルが48に?」


「経験値10倍だからね、私たちのパーティは」

「ほええ、鑑定で視えていたけど、改めて体感すると凄い結果」


「何ごとも経験よ、どうぞ召し上がって、肉が終わったら甘いものがあるわ」

「うん、ファリナも食べる?」


 アイリーも席について、三人分の肉が用意された。


「ええ、私もレベルが13もアップして、分母が325も増えたから、埋め合わせしないと」

「私はレベルが11あがったわ。私も食べよう。おっぱいチャンスよ」

「それは食べない手はないか」


 ステーキ1枚でどれくらい回復するもの?

 100gで1ね。


 私が3キロも食べられたはずね。

 シャーロットなんて10枚目よ。5キロ。


 余裕でしょ一枚500gだもの。

 すっかりおっぱいが膨らんだわ。Cくらいあるかな?


「いや、おかしいだろう」

「だって500×1でHP500回復よ」


 俺は、席に座りながら会話に参加して抗議した。


「数字上はそうだが、物理的に胃に入るのかよ」

「そこは、ご都合主義ということで、胸とお尻に肉が付いたようよ、良かったわね、ベルン」


「私、デザートを食べる」


 三人が、デザートを食べている姿を見て胸ヤケがする。しかし、肉を喰わないと体力が回復しない。久しぶりに大幅に上がったので、流石に空腹感を感じる。


「確かに、重くないな。胃に落ちる前に溶けている感じだ」

「でしょう?」

「ああ」


 ふう。


アイリーとファリナはお風呂に行くので。先に二人で始めていてね」


「うん、そうする」


 シャーロット、意味が解っているのか。


「ベルン、食べ過ぎた。ベッドまで運んで」

「おう」


 確かに、5キロは重くなっているな。


「エルフを抱くのは初めて?」

「ああ」


「感想を聞かせて?」

「ああ」


 35歳の未亡人か。


「相手は、生きているよ?」

「そうか、それって、俺と相棒契約していいのか?」


「いい、契約したもの勝ち」


 なんだか、エルフの価値観がわからないな。そんなに嫌だったのか?


「国王、妃、皇太子とその正妻が5人、全員が見ている中で、するの、最悪」

「それは、嫌だな、なんでまた見られるんだ」


「処女証明だって、鑑定すればいいのに、ばかみたい」

「確かに」


「それで、体に結界を張ったら、挿入できなくなってね、萎んだ相手が復活させようとした隙に逃げたの、まさに、処女逃亡ヴァージンロード

「お、おう、生々しいな」


「ふふふ、形式的に相棒契約申請プロポーズはしてね、ダーリン」

「ああ、必ず、守るさ、サヴァイアだろうと、ガスマン王国だろうと」


「うん、そこまで言ってくれる人がいるなんて、逃げてよかった、よろしくね、ベルン」

「ああ、任せろ」


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