夕食-ハンバーグ-

「なんかカレー食いたいな」


 弟の晃星のがぽつりと呟く。


「何? 兄ちゃん泣くで」


 呟きつつ弟が口に運ぶハンバーグは、兄の康太が真心込めて手作りしたものである。


「いや、ハンバーグの1番美味しい食べ方ってハンバーグカレーじゃが?」

「いや知らんけど」

「カレーの1番美味しい食べ方もハンバーグカレーやし」

「カツカレーやろ。当たり前みたいに言われても俺の中のドンキーがびっくりするが」

「あれのカレーソースも美味いよなぁ。あんま行ったことないけど」

「なんの話やったっけ」

「んでカレーが頭に浮かぶと完全にカレーの口になるやん」

「レトルトならあったと思うわ、待ってな」

「いや、分かっとらんなぁ兄ちゃん。欲しいのは……」

「ごめんハヤシしか無かったわ」

「話聞いて?」

「これで我慢して」

「何これ?」

「ルゥ」


 ハンバーグの上に置かれたのは、固形のルゥだった。


「おいコラこれこのまんま食うもんじゃないやろ」

「いけるいける、試しに食ってみ」

「たっく……あ、うま」

「今度からそれでええな」

「それは違うが。これ飯じゃないし。強いて言うならおやつ枠やし」

「さて、残り3つか。開けてもうたし、何に使うかなぁ」


 明日の晩飯が決まった。

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