聖女は帰りました!

竹冬 ハジメ

プロローグ

 その日、聖都スーベニアで執り行われたのは幾度目かの召喚の儀式。


 世界に瘴気がはびこり始めた今、それは世界の願いであり、召喚の儀式を唯一人行える神官長の急務であった。


 初めは名もしれぬ草。


 次に花。


 そして次に羽に黒い点を抱く赤い虫。


 更には耳の長い小さな獣…。


 それらは全てこの世界には無いもの。

 徐々に門が大きくなっている事に彼らは気が付き、喜んだ。


 そしてようやく人の形をした何者かが光り輝く魔法陣の中に姿を現した。


 神官長以下、神殿に勤める者たちは大層喜んだという。

 聖女のおわす世界への門がやっと開通したのだと…神に祈りが通じたのだと。


 そしてその開門は民の信心を神に捧げるべく大々的に発表され、人々はこぞって辺境にある聖都を訪れる。

 祈りは魔力となり魔法陣に貯められ…聖女召喚の本番に向けて着々と準備が成されているのであった…。

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