あなたの病室で、約束をした。
菊池周
始まり
11月3日、冬かどうかすらも怪しい、何とも言えない日。
高1の俺は、一人寂しく、自分の部屋で倒れた。
別に、限度を超える徹夜をしたわけでもなく、
断食をしていて、一生の悔いなしといった倒れ方でもなく、
まるで、日常の一かけらのように。まるで、当たり前かのように。
倒れることを肯定されている気分になった。
走馬灯など、何も出てこない。意識が無いだけなのか、はたまた、
思い出なんて、本当は無いだけなのか。
11月の山形。雪はまだ降らず、降るのは無の重みだけ。
そこには何も無いのに、それは執拗に心を圧迫していく。
その正体は分からない。分かりたくない。
ひどく落ち着きすぎている、この世界の空気の中で、意識を失った。
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