voice

私は毎日、パンチをくらう

私は毎日、キックをくらう

銃撃に遭うことも稀でない

それでも私に障害はない


私に身体というものはない

だから傷を受けても気づかれない

けれど感じられる

私の主人はその痛みを感じる

けれどそれをないものとする

私の受けた傷痕は残るまま


主人は笑うように誤魔化すが

傷痕は毒のように忍び潜む

主人はそのうち笑顔をなくし

主人はそのうち口数をなくし

最後には自分自身をもなくす


けれど私は闇の中

主人は私をされけ出そうとはしない

むしろ恐れている

ぼろぼろになった私を見せるのを


私のような者はどこの世界にもいる

私のような者はいつの時代にもいる

いつか私のような者がいなくなれば

それこそ世界は平和と呼べるのでしょう

けれどそれは叶わない


人は誰しもその内に

真っ暗な闇を抱いている

それが他の人へと伝染して

誰かを標的とした行動を作り出す


それはたとえその内に

温かな明るい光があったとしても

むしろ笑って共存してしまうような

恐ろしい力なのだから


私のような者をなくすことはできない

できるという者は偽善者にすぎない

人間同士のいざこざは

規模が大きいにしろ 小さいにしろ

いつの時代もあり続けるのだから


けれど、私のような者を減らすことはできる

相手を互いに理解できれば

相手に多少の我慢ができるなら

相手を少しでも思うゆとりがあるのなら

私のような者は少なくなるのでしょう


私のような者は、どこにでもいる

私のような者は、いつでもいる

つまりそれは

私のような者をつくる人は、どこにでもいる

私のような者をつくる人は、いつでもいる


あなたはどちらですか?

私のような者ですか?

私のような者をつくる人ですか?


それとも


私のような者がいるのを

見なかったことにする

そんな人間ヒトでしょうか。

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