外野と───
玉座奪取式しりとりも大詰め。
会場にいる人間はバトルロイヤルのような
「徹底しているでしね、ロキのやつは」
「いやー、初めはザラス様が
ザラスと同じ歳ぐらいの人間だろうか?
その横で同じくワイングラスを片手に興奮したような様子を見せていた。
「残り時間は十分と少し。あと一つで玉座に届く距離ですが、そこにロキ様いる限りは難しいでしょう!」
「まぁ、そうでしね」
映像に写っているのは両手に剣を構えたロキの姿。
相対するのは密かに決闘をしている相手……二人の令嬢。
(
玉座が用意されている部屋の唯一の道を塞ぐという行為は公平とみなされない可能性がある。
言わばダンジョンに潜むラスボスのような立ち位置。一対複数の構図であれど、しりとりに参加していないロキは状況を含めて有利と映るだろう。
だが、自身が動かないという縛りを設けることで
こうして問題なく
「もっとここに残っている参加者が多ければ話は変わっていたでしがね」
「ここに来るまで、ほとんどの参加者が足を引っ張ってましたからね。まぁ、気持ちは分かりますけど」
最後の扉を塞いでいるといえど、ロキは一人だ。
大人数が押し掛け、奥の扉へと向かわれてしまえばあっという間に
そうならなかったのは、参加者が一つの餌に群がろうとしたからだ。
先着一名という焦りが、互いを蹴落とすという行為に繋がる。
それもこれも、過去の
「そのためにわざとロキはシンプルなルールにしたでし。そうすれば、参加者は過去の経験をヒントとして照らし合わせようとするでしから」
それがロキ・バレッドの大きな策略である。
シンプルにすることで、参加者に考えさせる。
たったの二人……仮にもう一人増えたとしても、その人数であれば時間稼ぎは容易だ。
「それに、あの扉を見てみるでし」
「扉、ですか?」
ザラスが指さす映像を見る取り巻きの男。
それは赤く染まっており、中心部に『く』と大きく彫られていた。
「これまでと一緒でし、奥に行くには交換しなくちゃならない。少人数が運よく『き』で終わる『物』を持っている可能性は低いでし。仮に持っていたとしても、ロキは剣でその持っている『物』を優先して狙って壊せばいいだけでし」
だからこそ時間稼ぎになり得るし、少ない人数で攻略するのは難しい。
大人数で押し掛けて来なかった時点で、ロキの勝ちはほぼ確定しているのだ。
「ですが、懸念としては相手がソフィア様とカルラ様ってことですね。カルラ様は武に特化した家系の一人娘で、ソフィア様も戦闘能力には光る才能があると聞きます。万が一倒されてしまったとしたら───」
「ないでし、ないない。ロキは表立って動いて来なかったでしが、あいつも充分化け物でし。確かにカルラ・チェカルディには負けてしまうかもしれないでしが、時間稼ぎぐらいなら容易でし」
それもそうですね、と。
取り巻きの男は笑みが戻って再び映像に視線を戻した。
だが───
(しかし、おかしいでしね)
ザラスは一人違和感を抱える。
(残っている参加者はあの二人を除いて二人……その中にはあの生意気な執事もいるはずでしが……)
二人に合流しているわけではない。
今まで先行しているソフィアとカルラばかり見ていたため、あの執事を探すなどといったことはしていなかった。
ふと思った疑問───サクは一体どこにいるのだろうか?
そう思い、皆がカルラ達の戦いに集中している中、ザラスは全ての映像の中から今まで音沙汰なかったサクの姿を探す。
そして───
「はぁッ!?」
───ザラスは、見てしまった。
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