女神様との出会い3
「それって呪いって言いません?」
「い・い・ま・せ・ん!死ななければ良いんだから、保険とでも思って頑張ってね」
「はあ・・・分かりました。ありがたく頂戴いたします。それで、多少の能力とはどのようなものなのですか?」
「能力ねえ・・・何が欲しい?」
目の前の女神様は少し考えるそぶりをすると、俺にそう聞いてきた。
「えっと、決めさせて貰えるのなら丈夫な身体が欲しいです」
「丈夫な身体?また漠然とした願いね。それに死なないんだし、病弱でも良いんじゃない?」
「嫌ですよ。異端審問になる確率はできるだけ下げたいんですよ!」
「分かったわ。最高に丈夫な身体をプレゼントするわね」
この女神様の言葉に一抹の不安を感じたけど、たいしたことないだろうと追求するのをやめた。ただ、転生後にこの件を追求しなかったのを、ひどく後悔することになるとは夢にも思わなかった。
「ありがとうございます。あとはそうですね・・・元の世界にある俺の部屋の中のものを持って行くことはできますか?」
「えっと、ちょっと待ってね。ああ、なるほど・・・これは・・・うーん・・・まあ、いいでしょう。条件付きで許可します」
女神様はかなり悩んでいたけど、なんとかなりそうで内心ホッとした。
「ちなみに条件とはどのような事ですか?」
「文明レベルが違いすぎるので、元の世界の物を持ち込むことは認められません。ただし、特別な空間を用意しますので、その中でなら閲覧や使用は認めます。そこで得た知識を何処でどう使おうが、わたしは一切関知いたしません」
ああ・・・これは本当の目的が見透かされてるなあ。最後の方なんて、俺の方をニヤニヤしながら見てるしね。
「感謝します。本当に助かります」
心からそう思った。自分の部屋の中には雑多に色々なジャンルの本が所狭しと置かれている。全部読んだわけじゃないし、たとえ読んでいたとしても内容を全部覚えているわけでもないわけで。知識チートがやりたいとは思わないけど、いざというときに情報を手に入れられる手段があるとないとでは大違いだ。
「別に制約も付けたし問題ないわ。ああでも、インターネットには接続できないわよ。無理すればできないことも無いけど、凄く大変なのよね。主にわたしが。それで、他にはどんな能力が欲しい?あと一つ二つならあげられるわよ」
「うーん・・・特に思いつかないので大丈夫です」
「そう?それじゃあ、そろそろ向こうの世界に送るわね。たまにでいいので教会へいらっしゃい。そこで祈れば、いつでもわたしと会話することができるから。もし、お願いしたいことができたらその時に伝えるわ」
そう女神様が喋っている間にも俺の身体は段々と薄くなっていった。
「わかりました。なるべく毎月訪ねるようにします」
きっかけは色々とアレだったけど、女神様への感謝でいっぱいな気持ちで別れられると思っていたら、最後に特大の爆弾発言をされた。
「そうそう。言い忘れてたけど、あなたの加護と能力と記憶はある程度の年齢になるまで封印しておくからね。比較的権力と財力のある家に産まれるようにするけど、なにかあったらごめんね」
「そ、そんな大事なことを言い忘れるなああああ・・・この・・・・・・」
俺は最後まで文句を言うことができなかった。
この駄女神め!”てへぺろ”なんてしても許せるか!もし、死んだら化けて出てやる!!
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