女神様との出会い2
「わ、分かりました。異世界転生でお願いします」
「物わかりの良い子は嫌いじゃ無いわ」
あと俺にできることは、どれだけ良い条件を引き出せるかだけど、そういうのは苦手なんだよねえ・・・。
「質問があります。これから行く世界はどのような所なのでしょうか?」
「そうねえ。あなたの元の世界基準だと、だいたい古代から中世の間かしら?物理法則などは同じと思って問題ないわ。でも、魔法文明が発達しすぎて科学的な考えは無いと思った方がいいわね」
うん?何かいま聞き捨てならないことを聞いた気がする。
「ま、魔法があるのですか!?それはどのような?」
「なんか今までで一番反応が良いわね。ええ、あるわよ。大気中に魔法の源になるマナが存在していて、そのマナを自分の体内に蓄えることによって魔法を使えるわ。魔法の威力や効果は、どれだけ詳しくイメージできたことと蓄えたマナの量によって決まるわ」
「え?でもさっき科学的な考えは無いと仰ってましたが・・・」
「良いところに気がついたわね。ほとんどの人は漠然としたイメージしかできないから、指先に炎を灯すとかそのくらいしかできないわね。極まれに経験からの直感で正しいイメージができる人がいるけど、大抵は魔力を溜める器が足りなくて発動できずに間違った考え扱いされてるわね」
「なるほど・・・一つお伺いしますがお、私は記憶を持ったまま転生させていただけるのですよね」
「”俺”でいいわよ。それに無理に丁寧に話そうとしなくても良いわ。苦手でしょ?そういうの。で、質問の答えは”イエス”よ。一定の制限は設けるけど、記憶を持ったままの転生よ」
微かに苦笑いをしながらそう答えてくれた。多少は認識を良い方に改めても良いかもしれないな。
「ということは、俺なら効果の大きい魔法も使えるのですね」
これは転生が楽しみになってきた。
「まあ、そういうことだけど気を付けなさいね。教会の力が強い世界だから、あまり変なことをすると異端審問にかけられてしまうわよ?」
「き、気を付けます。話は変わりますが、契約の”下僕”とはどういうことでしょう?」
「ああ、その事ね。たいしたことでは無いわ。たまに教会へ来て、わたしのお願いを聞いてくれればいいから」
一見簡単そうに聞こえるけど、これはかなりやっかいな問題かも知れないな。これってつまり”お願い”という形であれば、なんでもOKということだよな。借金の契約で金額部分を空白のまま結ぶようなものだ。
「あら、そんなひどいことはしないから安心して」
「え?あれ?俺、口に出てた?」
「いいえ。口には出していなかったわね。でもわたしは女神なのよ。あなたの心の中なんて筒抜けよ」
その言葉を聞いて俺は初めて、この女神様に恐怖というか畏怖を感じた。
「は、はい!気を付けます!!」
「うふふ。そんなに怖がらなくてもいいわよ。心の中で思ったことに怒るほど狭量じゃないわ」
「あ、ありがとうございます」
「だから、さっきまでと同じ普通にしてていいわよ。で、話を戻すけど、あなたにはこれから行く世界に問題が発生した場合に解決して欲しいのよ。わたしの加護と多少の能力を授けるから頑張ってね」
なんか軽いなあ・・・。
「ま、まあ・・・そういうことなら。ちなみにどのような能力を授けて貰えるのですか?」
「それは気になるわよね。まずわたしの加護だけど、加護が付いてる間は絶対に死なないわ。これは首が飛ばされようが、身体がバラバラになろうが瞬時に復活するわ。でも、注意してね」
「え?何でですか?」
「だって考えてもみなさい、そんなになっても死なない生物なんて、控え目に言って化け物じゃない?もし誰かにばれたら、異端審問とか拷問とか幽閉とかされるんじゃないかしら?それに死なないだけで、痛みは普通に感じるしね」
やたら笑顔で軽く言ってくれるけど、俺にとっては本当に死活問題じゃないかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。