第24話 脅威から守るため

 昼休み。

 蓮人は、ピジー、フェアリーを図書室に呼び出していた。

「図書室に来いだなんて、どうしたんですか?」

「私、ご飯食べてたんだけど……」

 それぞれ反応は違えども、なぜここに呼びだされたのかが疑問だった。

「…………」

 蓮人は椅子に座り、静かに二人を交互に見る。

 首を傾げるフェアリー。腕を組み、不機嫌そうな顔をするピジー。

「……はぁ」

 小さくため息をつき数秒後。

「どういうことなんだ?」

「えっ?」

「は?」

「……いやいや、なんで二人とも俺の学校にいるんだよ」

 そう。蓮人が呼び出した理由は、なぜ二人がうちの高校にいるんだということ。

 普通に考えてあり得るはずがない。そもそも、二人は何歳なのだろう?

 何のために園江高校に?なぜ昨日、園江高校の制服を?

 色々な疑問は浮かんでくるが、それは二人に直接聞けばいいだろうと蓮人は思ったのだ。

「ただの視察だよ」

「……視察?」

「私たちも見たからさ。あの黒い怪物を」

「<ベスティア>の脅威から蓮人さんを守ろうってピジーが——」

「ち、違うし!あ、あんたいい加減なこと言ってんじゃないよ!?」

「落ち着いてよ……とにかく、この学校にも<ベスティア>が現れたらマズいということで、色々な手続きをして、蓮人さんの高校に転校生として入ってきたわけです」

「うーん……なるほど、なのか?」

 少し前にショッピングモールで、リリーが<ベスティア>と戦っていた。だけど、それっきり<ベスティア>は見なくなったから、もうこの世界からいなくなったと思っていた。

 ……そんなわけがない、という事だろうか。

 でも、別に二人がここにいなくても、リリーがいるから何とかなると思うが……。

「俺を守るために、ここへ?」

「はい」

「……っ」

 フェアリーは真っすぐこちらを見ながらそう言う。ピジーはそっぽを向いていた。

「……そっか」

「恐らく、リリーさんが倒した以外にもいるはずです。根拠はありませんが……なんとなく、そう感じるんです」

「……うん。私も」

「……」

 やはり、そうなのか。

 一体だけで終わるはずがない、か。

「分かった。もしそうなったら、よろしく。俺は何もできないから」

「蓮人さんは何もしなくて大丈夫です。私が——いや、ピジーが守ってくれますから!」

「はぁ!?なんで私だけ!?い、言っておくけど、守るのは仕方なくだからね!勘違いしたら、その頭かち割るから!」

「その口調、もうちょっと良くならないの?」

「なるわけないだろぉぉぉぉぉ!」

 ピジーの態度が激変し、それに対してフェアリーはさらに怒らせるような一言を投下。

 いつも見てるような光景が、そこでは繰り広げられていた。

「…………はいはい」

 蓮人はその様子を苦笑いしながら眺めていた。



 

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