第28話

大和と白がギルドにいたころ、エドは素材屋を訪れていた。

念願の鉛を鉱山で見かけたため、エドはうきうきしていたのである。

流石は王都の素材屋といったところか、とても多くの素材が並んでいる。

鉱石以外にも木材や魔物から採取された牙なども並んでいる。


「おお、いい品揃えだ。流石王都の素材屋だな。」

「いらっしゃい。何をお探しで? 」

「鉛ってあるか? あと銅と亜鉛もあるといいんだが。」

「あるともよ。ほれ。」

「おお、結構あるじゃん。おっちゃんこれいくらだ? 」


エドは自分が欲しかった鉱石を一通り購入した。

そして武器屋と防具屋にも向かった。

武器屋もすごい品揃えだが、やはりこの世界には銃は存在していなかった。

防具屋には様々な装備が揃っており、後日みんなを誘って来れるように色々と見て回った。

一通り散策を終えたエドは武器屋の店主に話を聞いた。


「個々の武器や防具ってどこから仕入れているんだ? 」

「個々の武器は個人でやっている鍛冶師から仕入れているよ。」

「個人の? 個人以外にも鍛冶師ってのはいるのか? 」

「ああ、王都直属の鍛冶師だ。なんでも王から認められた凄腕の鍛冶師らしい。何人もの弟子を抱えて、王都軍の武器を作っている。」

「ふーん。なるほどな。ちなみにそいつの名前は? 」

「バイアンという男だ。あーでも冒険者が依頼して武器を作ってくれるなんて思うなよ? 」

「わーってるって。聞いてみただけだ。ありがとな店主。」

(王都直属の鍛冶師ね…。ちょっと気になるな。)


エドはそうゆうと店を後にし、購入した鉱石を錬成するため、一足早くへと戻った。

部屋へ戻ると早速錬成を試してみた。


「さて上手くできるかね。」


エドはまずは鉛弾を作ることに成功した。

そして次に、銅と亜鉛で真鍮を作成した。

そして鉛弾と真鍮でを合成し、フルメタルジャケット弾を作成した。


「ふーっ。案外できるもんだな。正直この世界じゃ鉛弾だけで十分だけどな。早速試し打ちと行きたいところだが、王都の中じゃ目立つしな。やめておこう。」


その後もエドはしばらく、銃弾を作成し続けた。

そして王都の店や市場を散策していたティナとルマリーザはショッピングを楽しんでいた。

二人が訪れているところは、王都の大通りであり、出店や市場、洋服店や雑貨屋など様々な店が並んでおり、多くの人でにぎわっている。

そして大通りの先には、イゼクソン城が見える。


「すっごい美味しいですっ! これ! 」

「そうだね。とてもおいしいよ。」

「ルマリーザさん次はあっちのお店行ってみましょー! 」

「そんなに急がなくても店は逃げないよティナ。ゆっくりとたくさん回ろう。」

「はいっ! 」


ティナとルマリーザは出店のものを食べ歩いたり、洋服を見に行ったりと王都の街を楽しんでいた。

すると大通りで何やら人だかりが出来ていた。

二人は気になったので見に行ってみることにした。


「何の人だかりなんでしょう…? 」

「なんだろうね。君、ちょっとすまない、この人だかりはなんだ? 」

「え? 君たち知らないのかい? 王都軍の隊長、メイア様がお帰りになられたんだ。」

「王都軍の隊長?」

「ああ、あの人さ。」


男がさした先にいたのは、綺麗な紫色のウェーブをかけた長い髪を持つ美しい女性だった。

多くの王都軍の兵士を引き連れ、城へと向かっている。

沿道からはたくさんの黄色い声援が飛んでいる。

男性はもちろんの事、女性からもとても人気のようだ。


「メイア様―! 」

「キャー! かっこいい! 」

「あれが王都軍の隊長とはね。」

「綺麗な方ですねっ。皆さんが盛り上がっているのも分かりますっ。」


メイアは沿道からの声援に応えるように、手を振りながら大通りを歩いて行った。

しばらく沿道にいた男に、メイアについて話を聞いた。

なんでも剣の腕がとてもよく、部下に優しくリーダーシップがあり、何より王都の民の事を一番に考えており、それに加えあの美しい容姿もあり、王都の民からの人気は高いという。


「なるほどね。それはみんなが付いていきたくなる人物だ。」

「そうですねっ。」

「なあ、メイア様と話せる機会はないのかい? 」

「は、話す!? そんな恐れ多いことできるわけないだろう。そもそも軍の仕事が忙しくて私たちに構っている暇はメイア様にはないよ。」

「そうか、わかった。色々とありがとう。」


メイアが大通りを通り過ぎ、人だかりが徐々にはけて行った。

ティナとルマリーザも宿へと戻ることにした。

宿に戻る途中ティナが、出店のアクセサリー屋を見つけそこによることにした。


「わー綺麗ですっ。」

「そうだね。ティナにはこれが似合いそうだ。」


ルマリーザが指したのは蝶のネックレスであった。


「わーかわいいですっ。おじさんこれを二つ下さいっ! 」

「はいよ。」

「ティナどうして二つなんだい? 」

「はいっ! ルマリーザとお揃いですっ! 」

「ティナ…。」

「魔法も教わっているしそのお礼も兼ねてなんですけど…。あまり気に入らなかったですか? 」

「いやそんなことはないさ。ありがとう。大切にするよ。」

「わーいっ! それじゃあ宿へ戻りましょうかっ。」

「うん。そうしよう。」


二人は手をつなぎながら、宿へと戻った。


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