第26話
翌朝、昨日の夜は暗くて気が付かなかったが、
セイル側の入り口と比べ、山道が大分整備されている。
鉱員たちが通いやすくするためだろう。
一行はいつも通りティナが作った手料理食べ、出発の準備を整えた。
「あとどのぐらいで王都なんだ? 」
「見た感じこの道を進んで行けば辿り着けそうですが。」
「ちょっと待っててくれ。」
そういうとルマリーザは浮遊して、高く浮上した。
そしてあたりを見渡すと、ゆっくりと降りてきた。
「上から見た感じ、この道を辿って行けば、半日ぐらいで着くみたいだよ。」
「意外と早いな。」
「よし、じゃあ王都へ向かうぞ。」
一行は整備された山道を下っていく。
セイルを出てから二日と半日、ジャストンから貰った荷馬車のおかげで、意外と早く辿り着きそうだ。
しばらく道を進んで行くと、だんだんと王都が見えてきた。
そして、同時に武装した人間がちらほらと現れた。
「なあ、あれって…。」
「ああ、恐らく王都軍だろうな。」
「王都周辺の警備ってところでしょうか。」
王都軍の兵士たちは、辺りを見渡し警戒態勢をとっている。
おそらく魔王騒ぎの影響だろう。
「それにしても、多いですね。」
「そうだね、これだけいれば地方の町へ応援を派遣できそうなもんだが…。」
そうこうしているうちに、王都の前までたどり着いた。
遠くからでは気が付かなかったが、とても高い壁が王都の周りを囲んでいる。
そして王都の前には長蛇の列があった。
行商人や、鉱員、冒険者などが並んでいる。
「うわぁ~。人がいっぱい並んでいますっ。」
「確かにすごい数だな。」
「すみません。この列ってなんですか? 」
「ああ、王都に入るための検閲待ちの列だよ。最近の魔王騒ぎで厳しくなっていてね。時間がかかっているみたいだ。」
「ありがとうございます。」
「随分と厳重なんだな。」
「王都っていうぐらいだからねぇ。まあちと慎重すぎる気もするけどな。」
「まあ王都は目の前さ。気長に待とうよ。」
しばらく待っていると、一行の順番まで回ってきた
「どの町から来た? 」
「セイルだ。」
「素性は? 」
「冒険者だ。」
「冒険者の証を見せろ。」
(これまずくないか? )
(ルマリーザお前証は…。)
(心配するな。)
一行は冒険者の証を出した。
(お前、それをどこで? )
(ジャストンがしれっと私の分を作っていてくれてね。)
(なるほどな。)
「王都への目的は? 」
「この子の両親に会いに来た。」
「わかった。では手荷物と荷馬車を見させてもらうぞ。」
検閲をしている兵士が荷物を調べ始めた。
待つこと数分、兵士が戻ってきた。
「異常なしだ。通っていいぞ。」
「ありがとうございます。」
一行は無事に王都イゼクソンへと入れた。
まず目に飛び込んできたのは、大きな城である。
それを囲むように街が形成されている。
「でっけー城だな。」
「流石王都って感じですね。」
「早速ティナの両親にと行きたいところだが、まずは宿探しと情報集めだね。」
「それでいいかティナ? 」
「はいっ! 大丈夫ですっ! 」
一行はまず宿を探すことにした。
王都の街並みはとても発展しており、様々な店が存在する。
武器屋、防具屋、素材屋、薬屋、そして市場がセイルの比じゃないほど多くあり、
どこも多くの人々で盛り上がっていた。
そして、選ぶのに困るほど宿も至る所に存在している。
「へい、兄ちゃんたち宿は決まっているかい? 」
「なにかどこかで見たことあるような…? 」
「ん? あんたセイルでも宿屋やっていなかったか? 」
「お、兄ちゃんたちセイルから来たのか! そりゃ俺の弟だ! 」
「そうなんですね。弟さんの宿ではお世話になりました。」
「これも何かの縁だ。この宿を使わせてもらおう。二部屋お願いする。」
「お、ありがたいねぇ! じゃあ早速部屋の準備をするから待っていてくれ。あと荷馬車はこっちで預かろう。」
「ありがとうございます。」
一行はセイルの宿主の兄の宿に泊まることにした。
この街での拠点となるだろう。
「兄ちゃんたち、準備できたから部屋に案内するぜ! 」
「ありがとうございます。」
部屋には大きなベッドか人数分綺麗に置かれており、食事もここで取れるという。
あと、浴場まで用意されており、自由に使っていいみたいだ。
一行は長旅を終え、一旦休んでから町の探索と情報集めをすることにした。
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