第21話
翌朝、大和一行はジャストンと共にアロンが拠点としていた砦へと向かった。
昨日の勝利のおかげで道中に魔物も存在せず、安全な場所となっていた。
「報告の通りだな。一応確認しとくが、本当にセイルに魔物は来ないのか? 」
「ああ、本当さ。アロンに仕えていた残党は他の主を求めて別の拠点を目指しているだろう。」
「どーだおっさん。少しはルマリーザのことを信じられたか? 」
「ああ、これを見せられたら信じるしかない。」
ジャストンはルマリーザへ深々と頭を下げた。
「先日の発言は撤回する。本当にすまなかった。」
「頭を上げてくれ。私もああなることは覚悟していた。」
「ありがとう。」
ジャストンのルマリーザへとむけられていた疑いが晴れた。
一通り確認を終えたところで町に戻り、冒険者ギルドへと向かった。
そして、昨日の戦いに協力してくれた冒険者たちへと報酬が贈られた。
「うひょー! これだけあればしばらくは生活できそうだぜ! 」
「あんたらについていってよかった! 」
冒険者たちは報酬を手にとても喜んでいた。
するとジャストンが冒険者たちに向けてこう言った。
「冒険者たちよ、セイルを危機から救ってくれてありがとう。お礼と言ってはなんだが、今夜宴を開こうかと思う。夜になったらまたギルドへと集まってくれ。」
「おーまじか! 」
「太っ腹だねぇ! 」
「町長ありがとう! 」
「もちろんお主らも来てくれるな? 」
大和一行は宴に参加することにし、いったん宿へ戻ることにした。
「ジャストン意外と律儀だよな。」
「そうですね。まあ事実感謝はしているんでしょう。」
「そうだな。しかしあれだけの魔物がいて王都が手を貸さないのは少し妙だ。」
「確かにそれは私も思っていた。あれだけの報酬を用意できるなら王都の軍ぐらい要請できると思うが。」
「前に言ってた話だと要請はしているけど一向に派遣されないって言ってましたねっ。何か理由があるんでしょうか? 」
「今夜ジャストンへ聞いてみるか。」
「そうだなー。それまで俺は少し町のほう見てくるわ。」
「僕は少し休んでいます。」
「じゃあ宴が始まる前にまた集合しようか。」
一行は各々時間を潰す為、行動をした。
皆が別れた後、ティナがルマリーザの元へと訪れた。
「あのっ! ルマリーザさん! 」
「お、ティナか。どうしたんだい? 」
「少し相談がありまして…。」
しばらくして宴の時間になり、一行はギルドへと向かっていた。
ギルドへ着くとすでに宴は始まっており、とても賑やかだった。
冒険者たちは昨日の激闘を振り返りながら飲み交わしていた。
すると、ジャストンがこちらに気付き声をかけてきた。
「おー来てくれたかお前たち。こっちで一杯やろう。」
ジャストンに招かれて一行は席に着いた。
テーブルにはこれでもかというほどの豪華な料理が並べられていた。
「さあさあ、遠慮せず食べてくれ。」
「じゃあいただきます。」
「美味しいですっ! 」
「ほいじゃあ俺も。お! うめーなこれ。」
「ええ。なかなかいけますね。」
「でもいいのかいジャストン。こんな大酒と料理。」
「ああ、今夜は無礼講だ! セイルに平和が約束されたからな。」
一行は宴を楽しんだ。
そしてしばらくしたところでジャストンへ王都のことを聞いた。
「なあジャストン。王都は何で軍を派遣しないんだ? 」
「前にも言ったが要請はしている。でも一向に王都から連絡がない。」
「普通は返事ぐらいは寄こしそうなもんだが。このセイルも王都が統治しているんですよね? 」
「ああ。ただ昨今の魔王騒ぎ王都も気が気じゃないんだろう。王都を守るので精一杯ってところかの。ただ…。」
「ただ? 」
「うーむ。実はあまり王都を信用していないんじゃ。今回の事もそうだが、王はあまり地方の町のことを重要視はしていないと思う。返事や派遣できない理由の説明もない。」
「王都の軍は王が動かしているのか? 」
「ああそうだ。多分王都周辺の守備を固めているんだろう。」
話を聞く限り、他の町も王都の動きが信用できないようだ。
ベイルのじいさんの今の王都軍を心配していた。
王都イゼクソン。魔王討伐のためには避けては通れないが、よく調査したほうがよさそうだ。
そして宴で盛り上がる夜は更けていった。
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