ボッチで淋しい俺が拾った女の子はライカンスロープ見習いでした
のらのなれはて
月が、キレイですね
「あははははは!」
彼女は笑い、僕は宙に浮く。なんだこの状況……。
宙に浮く、というか、正確にはいわゆる「たかいたかい」をされているのだ。
男の僕の方が、この幼気な女性に。……ああ。
178㎝、68kgのこの僕が、見た目は太すぎず、細すぎない、170cmあるかないかの、すこし背が高めなこの女性に!
「あははははは! たのしい? ごしゅじん!」
「……やめて」
「ねぇ? あたしちからもちでしょ?」
「やめて! ……は、はなしてよ!」
「あははははは! はい、たかいたかぁい!」
これはどんな状況なのか、どうしてこうなったのか。少し時を戻そう。
十二月八日
仕事帰りに後輩を一人誘い、ある女性とのクリスマス前のほろ苦い体験は一切話さず、浴びる程酒を飲んだ。後輩は終電で帰り、といっても当たり前で、朝まで突き合わせるのは悪い。多めに支払いはしたが、どことなく胸が痛む。さて、もう一件、気晴らしにお姉ちゃんのいる店にでも、と、そういう気にもなれなかった。
「……空っぽだな」
独りごつ。そして寒空の下、家路についた。
僕はいつも近所で飲むのだ。だからこそ終電で帰宅する後輩に対し胸が痛むのだ。こちとらせいぜい徒歩五分、といったところなのだから。
僕の間借りしている部屋の前には細長くこじんまりした公園があって、そこは特殊な形のとても綺麗な公衆トイレと、二人掛けのベンチが二組、二台で一セットになっているブランコがあった。治安も良い街なので、ホームレスやたむろしている若者もおらず、時折通る車の音と、冬特有の硬く澄んだ空気が鼻をつんざくだけ……なはずだった……のだが。そう、いつもならば。
「ん……んんんんんっ! ……ベンチで、女性が、寝てる?」
恐る恐る近づいてみる。電灯に映し出されたソレは明らかに女性だ。ショートヘアにロングコート、ブーツ。ただおかしなことは、頭にはケモミミ、そして手に大きなケモテ?とでもいうのだろうか、熊の手をもっとモフモフにしたようなグローブを付けていた。
「もし、もし? お姉さん」
「う、う~ん……さむぃいいい」
そりゃそうだろう。
「あのぉ、大丈夫ですか?」
僕はこの格好から忘年会でケモりんコスでもして泥酔した新入社員か、二、三年目のちょうど慣れて荒れ始めた時期の若手社員なのだろう、と勝手に想像した。
学生気分が抜けずにハメを外したか、擦れてきて自棄酒を呷ったかした二十代半ばの女性。とさらに勝手に妄想。
「……さ、む、いぃいいいい……」
「まいったなぁ……。もし、お姉さん、おうちは近いのですか?」
「……おうちぃい、ないぃいいいい」
「お一人ですか? ご一緒されていた方とかいないんですか?」
「いないぃいいいい、さむいぃいいい、いぇえええええ、ないぃいいいい……」
ただの酔っぱらいか、はたまた…と、彼女の言動から良くない想像もしてしまったが、この寒空の下で女性一人は危険すぎる。下手に警察を呼んでも面倒だ。……とりあえず、嫌だが運ぶか。と、イヤらしい意味ではなく、素直に善意が働いた。
「あのぉ、お姉さん、僕の家、目の前なんですよ。ちょっと、休んでいきます? それとも、警察呼ぶとか…」
「いぐいぐいぐぅうううううう!」
彼女はそういうとむくりと上体を起こし僕にもたれかかってきた。
「どわっ!」
ブーツを履いているとはいえ、180cm近くある僕と然程身長も変わらず、一見華奢に見えるその体躯はとてつもなく重かった。
「……き、鍛えていてよかった。」
いざという時、素直な言葉が出るものだ。
「き、きた? うん、おまえ、きた。あたし、いえ、いぐ」
「……」
僕は彼女に肩をかし、家へと向かった。
しかし、ああ……その様たるやロマンスの欠片もない。寒空の下、身をより寄せ合うカップル、というよりは、無理やり飲ませて潰した女性を部屋へ連れ込む鬼畜な性犯罪者、はたまた死地で瀕死の戦友を引きずりながら歩く名も無き英雄、ではなかろうか……。冗談抜きで、見れたものでも、見せられるようなものではなかったし、そも、誰かに見られていたり、巡回しているお巡りさんにでも出くわしていたら一大事になっていたことは間違いないだろう。
「……着きましたよ。靴、脱げます?」
「う、ん? いいニオイ」
「……ああ、玄関にね、この芳香剤、かな? ホワイトムスクだよ」
「くさい! ハナいたい! これ、ちがう! にくのニオイ! するだ!」
「……靴、脱げます?」
「ぬがぁしてぇ……」
一気に酔いが醒めてきた。とにかく今は絡まず、会話もほどほどに水を飲ませて介抱し、寝かしつけることを第一に考えよう。僕はそう思った。
「ぬがぁああああああ!!!」
「ああああ、大きな声出さないで……って」
奇声をあげながら玄関に座り込んだ彼女を見て驚いた。……ロングコートの中は下着姿だった。
しかし、自分でも驚くほどに冷静だ。なぜなら、女性の下着姿なぞ数え切れぬ程見てきたから、というわけではなく(そも、いくら拝んだって飽きることはないだろう)、今、この目の前にいるのは明らかに暴発しかねない不発弾の弾頭のようなものだからだ。ゆっくり、そうゆっくり慎重に取り扱おう。
「ほら、靴、脱がしますね。引っ張りますよ。……はい、こっちも。」
「ありぃぃぃ、ありありありありあり……」
「はいはい、良くできましたね。立ち上がれますか? 肩貸しますね、あっち、マットレス見えるでしょ? あすこにゴロンしてくださいね」
介抱というよりは介護に近いそれであったが、まぁ、この子も社会の荒波にもまれて大変なのだろう。目の前に困っているレディーがいたら、助けてあげるのが男ってもんだ。と、先日他のレディーにひどい目に合わされたばかりの僕はえらく紳士ぶっていた。
「……てか、下着姿でロングコート羽織ってケモコスしてベンチで寝てる、だ……と?」
冷汗三斗。ここに来て漸(ようや)くことの不条理さに寒気がした。明らかにオカシイ。もしかして、彼女は何かの事件に巻き込まれた? いや、そも、あの具合だ。忘年会なんて可愛いもんじゃなく、ドラッグパーティーにでも参加していた無職のギャル? いやいや、はてさて最近流行りのパパ活女子の乱交パーティー……。
「……まぁ、いっか。明日警察にも連絡いれよう。とにかく今はこの子を介抱して、僕も寝よう」
物事を達観しすぎている、僕の悪癖だ。それも仕様がないだろう。仕事以外の全てを失ったというのだから。
「……くぅぅ……かぁぁ……さ、みぃいい」
「あれ、寝ちゃった? うん、そりゃ寒いだろう。そんな格好じゃぁなぁ。でも起きそうもないし、起こしたくもねぇし……。 あ、そうだ」
僕は戸棚からクリスマス仕様のギフトラッピングが施されている袋を雑にほどき、中からカシミアのマフラーを取り出し、寝ている彼女の首に巻いた。
「なぁマフラーよ、プレゼントの相手が見つかって良かったなぁ。……これでよし。風邪ひくなよ?」
聞いたことがある。人に親切を行うことによって得られる何かがあるのだと。確かに今の僕には言葉には出来ない何かが胸を温かくしてくれていた。そして僕は、三か月前に幼馴染に連れて行ってもらったキャンプで使用した寝袋で寝た。
十二月九日
今ではないどこかの部屋で、隣に女性が眠っていた。顔は見えなかった。影に覆われていた。
「ねぇ、わたしのなまえ、いえる?」
僕は答えることが出来なかった。そして目が覚めた。嫌な夢であっ……
「じぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
眼前にじっと見つめる女性であろう顔。
「うわぁああああああああああああああ!!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
僕は思わず絶叫し、そして彼女もつられて絶叫した。そう、そうだ。彼女だ。僕は昨日の夜、一人の女性を介抱したのだ。
「なんだよもぉ、おどろかせるなよぉおおお、だぜ?」
「……あ、ははは。ゴメン、ビックリしちゃって」
「こっちがだわさぁあ……」
とにかく目を覚まそうと僕は用を足し、そそくさ洗面台で顔を洗い歯を磨き、お茶を二つ用意して居間へと戻った。
断片としてちりばめられた記憶のピースが埋まってゆく。……とは言え……
「ああああ、何から話すか……」
「これこれぇええええ! あなたがまいてくれたのぉお?」
彼女は僕が昨晩巻いた、きっと焼却炉行きだったマフラーの両端を持ってヒラヒラとさせながら好奇な眼差しで聞いてきた。
「あああ、それか。うん、そうだよ」
「たーんきゅううううううう!!!」
いきなり抱きつかれた。
「あったかかったよぉおおおお! すげぇぜ、マジかんしゃっちゃ!」
「ははは、そいつぁ良かった」
「うんうん、よかったでござる! ぜよ!」
僕は彼女を優しく引きはがし、諭すように語り掛けた。
「えぇっと、まずは、おはよう、お姉さん」
「おはようなのだでござるなのだ!」
「うん、マフラーは……その、首に巻いているそれね、それは部屋の中では取った方がいいよ?」
「いやなのだ!」
「……うん、わかった。じゃあ、とりあえずこれを着てくれるかな」
ロングコートの中は下着だけと言う破廉恥な姿では目のやり場に困るし、昼間にこんな姿で歩いていたら職務質問どころの騒ぎじゃない。と思い、昨晩寝る前に用意しておいたTシャツとスウェットの上下を彼女に渡した。
「おおおお! ありがとう!」
「あっち行ってるから、まずはコート脱いで……って、言うまでもないか」
彼女は僕が目の前にいることも憚(はばか)らずにロングコートを脱いでいた。
羞恥心というものがないのか、はたまた……どうあれ今は乗りかかった船、というよりかは毒を食らわば、と言った方が正しいか。とにかく、そんな心持ちでもって今日一日は彼女の面倒を見ようと考えた。
「……ん、んんんん? うんぐぐぐぐ!」
「マフラーを付けたままじゃTシャツは着られないだろう。伸びちゃうよ。一回ね、この首に巻いてあるマフラーってものを取れば、首入るから」
「うんんんぬぅ、これとれないぃいい……」
「力づくじゃダメだぜ? こうやって……あ、グローブ、外したのか」
「ん? ……ぐろぶ?」
この時初めて気が付いた。
二つ。まず、コスプレのケモミミと熊の手グローブを外していたこと、そして何より、彼女は美しかった。
「……へっ? なに?」
あざとさのない、緩く、ふんわりとしたアンバーのショートボブ。光の当たり具合によってアッシュのような、ブロンドようなメッシュがちらつきキラメキを放つ。パッチリとした大きな瞳は琥珀色に輝き、今にも吸い込まれそうだ。そして程よく丸い可愛らしい輪郭。鼻梁はクセなくすっと通り、高すぎず、低すぎず、形の整った鼻。唇は嫌味なく厚すぎず、薄すぎず丁度良く、笑うと見える八重歯と上がっている口角は女性が持ち得る幼さと可愛さを共存させている。
「ん? ……どしたの?」
「キレイだ……」
「えっ?」
「……あ、いや、なんだ。うん、キミはキレイだよ。そう言えば、昨日の夜の月もキレイだったね。はい、マフラーとれたよ。このTシャツ着て、その上にスウェット、この厚手のを着るんだ。」
「……キレイ? つき?」
目をパチパチさせながら僕を見つめる彼女。あまりの美しさに僕もつい見惚れてしまった。
「……あ、ああ。ゴメンゴメン。あんまり女性をジロジロ見るもんじゃないね。とにかく、それ着よ……」
「あなた! ごしゅじん! きっとそうだ!」
「……え、えええええええええええええええええええ?」
二つ。……まず、なにより……すげぇ可愛い。そして、きっと彼女は病気なのだと感じた。それも知能に障害を持った類のものだと。そして、僕は彼女に服を着せながらゆっくりと質門を始めた。
「大丈夫? 苦しくない?」
「うん! ありがとぅーしゃ! あったかいーしゃ!」
「……よし、んじゃあ、色々と聞かせてくれるかい? まずは、あなたの名前は?」
「んんんんんんんんん……しらにゃい」
「どこに住んでいるのかな?」
「うぅうううううううん……わかんにゃい」
「ご家族はいるの? 何も持っていないけど持ち物とかはない?」
「……うぅううん、うぅうううううんん」
「歳はいくつかな?」
「……とし?」
「そう、歳。何歳かな?」
「なん、さい?」
「そう、何歳?」
「う、うぅうううう……」
「何歳?」
「う、うぅううううううう……うるさいうるさいうるさいぃいいい!!!!」
彼女は絶叫するとそのまま泣き出してしまった。
「うわぁああああああん! あなたひどいぃいいい! ごしゅじんのはずでしょぉお?」
「ご、ごめんよ! ごめん! この通り!」
僕はとっさに手を合わせて泣きじゃくる彼女に謝罪をした。不思議な感情だった。何をやっているのだ、という自身への問いかけよりも、彼女を泣かせてしまった罪悪感のほうが勝っていたし、何より、彼女が可愛らしく、愛おしく感じてしまった。
「ほら! これ食べてもう泣かないで! 甘くて美味しいよ! ご主人からのご褒美だよ!」
「……っお?」
僕は冷蔵庫からプリンを取り出し彼女の前に差し出した。
「はい、こうやってね、蓋を開けて、スプーンで食べるんだ。はい、スプーンもどうぞ」
「おっ?……おおおっ!」
そうそう、泣き止ませるのに必要なのはエサだ。そしてそれは甘ければ甘い程に、いい!
「んんんんんんんんん! あまくておいしいぃいいいいいい!」
「……現金なやつだな」
「ありがとう! ごしゅじん!」
「うん、ゆっくり食べな」
しかし参った。きっとご家族は今頃捜索願いでも出しているに違いないし、何よりこの女性の身を案じているだろう。
「おいひぃいいいい! あんまぁああああいいい!」
とは言え、顔が緩んでしまうほどに、何て微笑ましいのだろう。もっともっとと際限なく何かを求め、今だけ、金だけ、自分だけ、と生きている人間が大半な世知辛い世の中だというのに、この女性はプリン一つでこんなにも喜んでくれ……
「おかわり!」
「えっ?」
「おかわりおかわりおかわりぃいいいいいい!!!!!」
「……はいはい、どうぞ」
「ありがとう! ごしゅじんだぁあああいすきぃいいい」
「は、ははは……」
やっぱ際限ねぇな。夜の店でとある女の子の誕生日にシュワシュワ入れたときの、あのイヤぁな思い出がよみがえるぜ。
「んまいんまいなまい!」
「……な、なま? ……まぁいっか」
ん、待てよ。あの格好で外に出ていた、一人で。そして持ち物はない。……こんな映画を観たことがある。知能に障害を持っている妹と、その妹に身売りをさせて生計を立てる兄との物語。……いやいやいや、ここ東京だし、副都心だし、そんなこと……ああ、それよりももっと組織的な犯罪だとし……
「あたしね……」
「……へっ?」
「あたしね、きおくないんだ。なにもおもいだせない」
「……へっ?」
「さむいぃいいいいってことと、めがさめたらごしゅじんがいたことしかわからない」
「……へっ? ……記憶、ない? の?」
「うんっ」
「……こ、これは」
合成カンナビノイド系ドラッグの乱用! 危険ドラッグにも認定されているこれを過剰に接種することにより引き起こされる後遺症は記憶障害! 脳の海馬、主に記憶を司ると言われる部分へのダメージが原因という! 僕はついにことの真相を突き止めた! と、感じたのだが……
「あれ? ごしゅじん?」
「い、いや、何でもないよ。 お茶、飲んだでしょ? 今度は甘いココア入れてあげる」
「あまいぃいい? わぁああい!」
涙が出てきた。こんな幼気で屈託のない女性を薬漬けにして食い物にしているのか。この世界はこんなにも醜く狂っていたのか…。と、どこまでも感受性が豊かで女性に優しい僕は感情を抑えることが出来なかった。
「あれ、ごしゅじん、どうしたの? 悲しいニオイがするよ?」
僕は彼女を抱きしめていた。
「大丈夫、もう大丈夫だよ。……どんな辛い目にあってきたか僕には想像できない。でもね、それでも生きていれば何か良いこともあるんだよ、きっとね。うん、これからは僕が力になってあげるから、僕が守るから、一歩ずつ、前へ進んでいこう」
「ん? まもる?」
「……何も、何も言わなくて良いんだよ」
「だいじょうぶ」
「……へっ?」
「あたし、むっちゃつよい。で、あたしがごしゅじんまもるから! ほら!」
「……へっ?」
「あははははは!」
僕は宙に浮き、彼女は笑い、そして今に至る。
「ほら、あたし、ちからもちでしょ?」
彼女の細長い腕はピンと張り、この僕を文字通りに「たかい、たかい」している。
「あははははは!」
「お、おろして…」
「ん? たのしい? たかいぃいい、たかぁああああい! あははははは!」
「お、おろしてよ! ……ください」
「ん? はぁあああい」
「……やだこれ、何この、喪失感……」
その場にへたり込み、女の子坐りで茫然自失している僕を、彼女は不思議そうな眼差しで覗き込んでいた。
「あ、そうだ」
「……今度は、なによっ」
今まで独りで勝手に妄想して、勝手にヒーロー気取って、このあとどうなるのか、とか、二人で警察を味方につけたり弁護士を見つけたりとか、そして僕が彼女の保護者として、とか……ロマンスとか、命かけますとか、運命の再開とか、海辺でのデートで彼女が初めての海に喜んだりとか!
……一人で舞い上がり、妄想しまくっていた自分が恥ずかしすぎて、頭がおかしくなりそうだった。
こんな膂力があるのならば、彼女はアスリートか格闘家なのか? どうあれ記憶の障害は一時的なものであって、事件性は極めて少ない。普通に考えてこの強さ、そこいらへんのやわな男、いや、そこそこな男でもすぐにのされてしまうだろう。きっとこのフィジカルモンスターは試合の打ち上げで深酒して宴会芸でもして、そんでもって…
「ごしゅじん」
「……」
「ねぇ、ごしゅじん」
「……はっ! ……な、なによ!」
「えっとね、あたし、なんかのもくてきがあったのね、で、あそこにいたような……」
「……目的ぃ?」
「そ、もくてぃきぃいいい。……でね、おもいだせたのが、ふたつ」
「……二つ?」
「うん、それはね。しゅじんとなるべきしょうがいのはんりょをみつけること。そして、そのあいてはきのうのつきのちからによってみちびかれたものであること!」
「……へっ?」
「つまり、あなたがあたしのごしゅじんってことで、ごしゅじんがあたしのしょうがいのはんりょになる! ってことなのぉおおおおおお!」
「……あ、ああ……やだ……も、もう無理」
僕はそのまま気を失った。……うん、きっと疲れからだろう。……そうしておこう。
相葉正、三十六、会社員。これが彼女と僕の、運命的な出逢いだった。
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