第21話 ~魔方陣~
『本日の成果』まとめ。
ブレイム(王子)に会えた。
ガラスの靴が手元に戻る。
『本日の失態』まとめ。
王子一行に下着姿を見せる。
その王子一行に対し、上がった足と突き出した尻まで惜しみなく披露。
「ガラスの靴を履いた、下着令嬢か……」
成果を失態が超大幅に上回っている。
「うわぁぁぁぁぁー! どう……どうしよう!? ヤプゥーッ!」
いつの間にか妖精に戻って気配を消していたヤプが、首を横に振る。
「どうにもならんだろ? 大人しく新たな『
「うぅぅ、冷たい……」
「あの、ライリー様。殿下も穏やかなご様子でしたし、きっと楽しい時間を過ごされたと思いますよ? さあ、外は冷えますから中へ入りましょう」
「……うん」
背中に添えられたユーセの手から、私の全身を癒しが巡る。
「甘いわ、ユーセ! この人はこれから先もまだまだ
ヤプからユーセ、そしてネムが織り成す、飴と鞭――。
憐れんだ表情を見せるクガイに「大丈夫だ」と頷き、今回ばかりは素直に従った――。
「
翌日、午前中の学院――。
移動教室へ向かう廊下で、私は現在アケビからも怒りを買っている。
原因は王子による、
昨日の深夜にネムの長い指導(説教)に耐えた私は、ベッドに入るなり絶叫した。
すぐさま駆けつけたクガイとユーセに、
「交流会……って、殿下が来るの?」
「えっ? ええ……
「はい」
『そんな日に男装……すなわち
「とにかく認めないわよ! 分かった!?」
「そんなぁぁー!」
アケビへの説得は、あえなく失敗に終った。
(こうなったら、その都度着替えるしかないか……ん?)
肩を落として下を向いたこのタイミングで、ある奇妙な存在に気付く。
(チョーク? いや、ペンキかな?)
初見の記号や文字が中を埋める『円』――。
目を凝らさないと見えないほどに薄いそれは、床に複数描かれていた。
「アケビ……これは何?」
「何って? どれが?」
アケビには見えていないのだろうか?
「だから、これよっ! 白く書かれているじゃない!?」
「んんー? ああ、
『魔法学院……だとぉぉぉー!?』
「そうだっけ……」
「確か『魔法使い』が
(魔法、過去……)
「ねえ……アケビは
「私は
(もし魔法使いを味方につければ、王子争奪戦が有利に働くのでは!? 探る価値はあるわね……)
「魔法について、もう少し詳しく教えてくれない? 放課後でいいから!」
「はぁ!? 私は
「クラブ!? この学校にクラブがあるの!?」
自主性や積極性が求められる、クラブ活動があるとは考えてもいなかった。
「
「ううん、大丈夫! 早速
「ええ……本当に大丈夫?」
何だか兆しが見えてきたわ!
ひょっとしたら、魔法が手に入るかも!?
こうして私は、新たな『王子攻略法』の糸口を見つけた。
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