『またまた 新製品 ツー 『紙パンツ・エテルナくん』』
オーナーさん……(かの『ましくくん・エース』を開発した人のいとこにあたるらしいが、安全上のため、あまりそこは、言わないらしい。紙を使った各種製品を作っている。発明家でもある。)
『みなしゃん。わが社は、ついに、画期的な紙パンツを開発いたしました。それが、これ。紙パンツ・エテルナくん、でありましゅ。』
会衆
『ほうう〰️〰️〰️』
オーナーさん
『普通、紙パンツは、使い捨てで、それが利点でもありました。洗ったりしないわけでしゅ。しかし、それだと、廃棄物は増やすし、コストもバカにならないのれしゅ。そこで、これ。『紙パンツ・エテルナくん』。この、エテルナは、ラテン語から来ていて、『永遠の』、くらいの意味あいれしゅ。例えば、『レクイエム』、つまり、『死者のためのミサ曲』の冒頭、『Requiem aeternam』と、同様のような。
れも、みなさん、縁起でもないなんて、言わないれくらさい。本来これは、死者には関係ない、旧約聖書外典のエズラ記から来ているのであります。え、わらくしちは、浄土宗でありますが。(会場から、笑いとブーイングあり。冒涜ではないか、とかも。)
いやいや、みなさん、違いましゅ。これは、すなわち、洋の東西を問わず問題ら、という意味あいれしゅ。(ほう。とか、ふん、とか、色々な、反応あり。)みなさんの周囲をみまわさして、くらさい。たくさんのお年寄りがいます。わらくしも、そうれすが。(笑い、あり。)
例えば、自宅での、介護を考えてみてくらさい。御手洗いに関する処置の問題は、本人の苦痛ももちろん、介護をする家族にとっても、非常に大きな問題なのれしゅ。つまり、これは、紙パンツというものは、いわば、使用するものにも、また、周囲の関係者にも、ある意味、永遠の、安息を提供するのが、本来の使命でありますわけなのれしゅが、しかし、一方、使い捨ては、我らが引き継いだ、この現代文明最大の問題で、過ちなのでさえありましゅ。それは、まだ食べられる食品の、無惨な廃棄という問題にもあたりましゅ。食べ物がない方々が、地球には、沢山あるなかで、大量の食品が捨てられるのれしゅ。すでに、かなりの、むかしれしゅが、我が偉大な祖先が、パンデミックのさなかで、いささか力業でオリンピックを開催した中でも、安易な大量の食品廃棄をしたり、企業や役所での、さまざまな、お約束違反があったりで、言ってることとやってることの、かなりな、違いがあると、我らが偉大なご先祖は、当時、相当な反省を迫られたのでありましたが、それは、じつは、各家庭においても、同じ問題を抱えていたのれしゅ。みなさん、物質だけではなく、人々を使い捨てにしてきた、それに、慣れ親しんだ現代文明は、まあ、全てが悪かったわけではなくとも、今なお、見直すべきところは、まだ、沢山あるのれしゅ。え、そこれ、この、紙を素材とするエテルナくんは、紙パンツで ありながら、使い捨てではない。なんと、特殊な微生物により、自律的に、排出されたものを、即座に分解再構成し、自らに取り入れて、再生するのでしゅ。人体には無害れしゅ。その所要時間は、約10分れしゅ。残念ながら、永遠には出来ません。今のところ、15回が限界れしゅ。しかし、だから、10回れ、使用をやめて、適切に廃棄したらば、それは、再利用ができるのれしゅ。わが社は、そのシステムも、すぐに、提供できましゅ。(『なんか、矛盾してないかあ。』とか、『結局金儲けだろ。』とか、ちょっと失礼な声も、飛んだ。)これは、紙パンツの革命でありましゅしが、パンツ以外にも、廃棄物対策に、応用の可能性が広がるのれしゅ。また、放射性廃棄物にも、広げる余地がかなりありますし。コストは、利用さえされれば、早期に劇的に下がり、今の紙パンツより、安くできると試算しておりましゅ。まいにち、二~三枚、紙パンツを使う、わらくしです。今も、使っておりましゅ。そこは、じゅうじゅう、分かってお話ししておりましゅ。はい。年よりの、妄想的な戯言とは、ちと、違うと……』(はははは。と、ぶー、とか、ぷー、も、さらに飛んだ。)
🩲
しかし、この画期的な技術は、各方面から、あまり理解が得られなかったのでした。
というか、怖れられたのです。
さまざまな、倫理的、衛生的、宗教的、社会的、経済的な観念に抵触し、行政からも、なぜか、拒否されたのです。説明のしかたが、良くなかったとも、言われましたが。さらに、業界の反対とか、さらに、ある、世界の大物が、気に入らなかったとかも。使い捨てが無ければ、儲からない。武器とかも。とか。
しかし、唯一、すぐに、導入されたのは、宇宙飛行士用だったのです。
人類は、ついに、本格的に、火星への移住に乗り出しておりました。
実は、まだ、公表はされていませんが、地球は、かなり、まったく、危なくなっていたのでした。
○023年の、おろかな核戦争の影響もあり、地球環境の激変を、もはや、誰にも阻止できなかったのです。
地球は、住めなくなることは、あきらかでした。
誰が、脱出するのか?
誰が残る、のか?
しかし、残ったほうが、正解かもしれなかったのです。
宇宙船のスピードは、いまいち、向上しておりませんが、そんなこと、言ってられなくなっていたのです。
火星までは、早くて、300日はかかります。
再生型紙パンツは、必要だったのでした。
ただし、オーナーさんは、それらを見ることなく、先に亡くなりましたが。
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