第5話 おばあちゃん
おばあちゃんの家に行くとなぜだか独特な香りがする。しかしそれは不快な香りではなく、むしろ安心感を抱くような落ち着いた香りだ。
おばあちゃんとは何なのだろうか。
私にとってのおばあちゃんは、近すぎず遠すぎない、程よい距離感から見守ってくれている存在である。子供と親の関係は距離が近すぎて、お互いに見えないことが多く、言い合いになることもよくある。そんな私たちの親子関係を一歩離れたところから俯瞰して見ている。
そんなおばあちゃんとは不思議な存在だ。大人の知識や軸を持っていているがどこか可愛らしい。家に遊びに行くとそこには落ち着いた空間があり、すぐに眠たくなる。そして、おばあちゃんの料理には言葉で表せられないおいしさがある。
以前インスタントラーメンを作ってもらったことがある。普段、私の家で作っているものと同じ種類だ。しかし、自分や母親が作った味とは全くちがうおいしさがあった。これを母親に話すと、母親が子供の頃にも同じことを感じていて、母親にとってのおばあちゃんの料理も特別な味を感じていたようだ。
やはり孫にとって、おばあちゃんとは特別な存在であるようだ。
私のおばあちゃんも80歳を過ぎた。昔は見上げていたのに、気が付いたら見下ろすようになっていた。そして、会いに行くたびに背中が小さくなっているような気がする。それを見ていると、今はまだ元気でいるが、少しずつお別れのカウントダウンが始まっているのかもしれないと感じてしまう。避けられないことだが、こんなことは考えたくない。これからも、元気で長生きして私たちをいつまでも見守ていて欲しい。
あの香りはおばあちゃんの優しさからできているのかもしれない。
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