第3話 田舎道
私の住んでいる町は田舎だ。家からの最寄りのコンビニまで5㎞あり、一番近いスパーマーケットに行くには、車で15分はかかる。小学生の頃の遊び場は、基本的に友達の家か、お寺や神社の横にある小さな公園に集まり、野球などをして遊んでいた。平成も中盤から後半にさしかかるあたりの時期だったがドラマや映画で見るような昭和的な小学生時代を過ごした。地元の中学生のデートスポットは自転車で30分以上かけて行く小さなショッピングモールくらいしかなく、休みの日に行くと誰かしらデートをしていて鉢合わせるということがよくあった。こんな、他に娯楽施設はない田舎な場所である。
そんな中、私の家は特に田舎が強い場所にある。家は木に囲まれているため、遊びに来た友達はトトロが出てきそうと言うが、実際に出てくるのはイタチやタヌキなどの害獣ばかりである。ジブリ繋がりでいえば、トトロの登場ではなくタヌキたちが妖怪大作戦の作戦を立てているかもしれない。
家を囲んでいる木の周りはひたすら畑と田んぼである。よくテレビで見る地平線は海と空の間にあるが、私の地域では永遠と続く田畑と空の間にある。
しかし、この地平線が私にとっては唯一、都会人に自慢できることかもしれない。夕方になると太陽が真っ赤になり、それまで茶色しかなかった一面を鮮やかに色づけ、ゆっくり地平線に沈んでいく。これを見ていると、体中の鳥肌が踊り、体内で電流が遊んでいく。そしてどこか懐かしさを感じると同時に自然に守られているという安心感に包まれていく。
現代の生き急いでいる人や、不安に押しつぶされてしまいそうな人には特に見てもらいたい。悩みがすべて吹っ飛ぶとは簡単に言えないが、何かしらのインスピレーションが降り注いでくることは間違いない。
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