第19話 招待状

 そんな話をしていたにも関わらず、私の手には一枚のキラキラした招待状があった。


「これはなんでしょうかフィスラ様」


「見てわかるだろう。招待状だ」


 私の部屋に届け物だとやってきたフィスラは、優雅にお茶を飲みながら私に気のない様子で招待状を渡した。


「流石にそこはわかります。ただ、何故私にという事が聞きたかったんです」


「質問は明確にするように。そして、質問への答えだが聖女のお披露目会という事で私は確実に参加だ」


「それはそうでしょう」


 フィスラは召喚の責任者だと言っていたし、役職も高い。それに関しては大きく頷くが、それと私への招待状が繋がってこない。


 私の察しの悪さに気が付いたようで、フィスラが残念そうな顔をする。


「君は私のパートナーとして一緒に参加することになる」


「えええ!」


 思わず大きな声が出てしまう。

 パーティーに出ることはないでしょうと伝えた相手が、何故元凶に。


 あれだけ聖女が嫌だと言っていた私を連れていくとかどんな嫌がらせなの頭おかしいのかな賢そうなのに忘れちゃうものなのかしら。


 次々と疑問が生まれるが、流石に黙っているだけの賢さは持っているので抗議の目線を送るだけにする。


「聖女とミッシェ殿下には許可をとっているので問題はない」


「……本当にそうでしょうか」


「パーティーに行ったことがないのだろう? 宝石もドレスも私が用意するから大丈夫だ。豪華にいこう。君にだって、ドレスは似合う。……聖女にだけ大きな顔をさせておくのは、良くないと思う。同じ召喚でよばれたのに」


 拗ねたように言うフィスラに、驚いてしまう。

 もしかして、私の為なのだろうか。


 なんだかとても恥ずかしくなってしまい、赤くなりそうな頬を押さえる。


「ありがとうございます。隣に並んでも恥ずかしくないようにしたいと思います」


 何かと気にかけてくれて、とても嬉しい。マナー等学ばなければいけない事が多いだろうから、その辺も手配してもらわないといけないかもしれない。


 手間をかけるけれど、フィスラに恥をかかせたくない。


 まっすぐにフィスラを見つめると、彼は虚を突かれたような顔をした。


「……恥ずかしいことなど、ない。私が隣に居るのだから安心するように」


「それはとても心強いです。ご迷惑にならない程度に、用意をお願いします」


「言っただろう? 私は大金持ちだと」


「ふふふ安心ですね。顔が負けちゃうんですよキラキラだと。でも、お化粧は得意だったので頑張りますね」


「私はそのままでも問題ないと思うが」


 真面目な顔でフィスラがいうので、今度こそ顔が赤くなってしまうのを止める事が出来なかった。

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