感情色

星光かける

第1話 私


 突然だが共感覚と言うものを知っているだろうか。症状は人によって様々らしい。


 私の場合は他人の感情が色になって見える。


 そして、そんな爆弾を抱えていたらどうなるか。私の場合はまず家庭崩壊した。


 他人の感情がわかると親に言うと、最初は信じてもらえなかったが、生活していくうちにそれが本当だとわかったらしい。ただそこに転がっている『物』のように扱われた。


 次に友達を失い、いじめられた。まぁ、普通はそうなるだろう。


 その結果、私は感情を失った。何を言われても、何をされても、何も思わなくなった。人の感情がわかるのに、自分に感情が無いなんて笑えてくる話だ。


 高校生になると強制的に一人暮らしをさせられるようになった。


 その時までの家庭環境もあり、家が変わっただけで、やることは何も変わらなかったのは良かった。


 そういえば聞いた話だが、両親は私が高校に上がってすぐに離婚したらしい。なんでも父が犯罪をしていたのだとか。


 高校では親友という存在ができた。その子との出会いは駅のホームだった。


 この人生に何も思わなくなった私は生きている意味がない、と自殺を図っていた。


 すると隣にきた女の子がどす黒い色を纏っているではないか。


 私と似た人だと思って話しかけると、病気の治療が苦しくて仕方がないから死にたい、と思ったという。


 さらに話していると、同じ高校ということがわかった。


 私たちは互いたくさん話してスッキリしたということで、自殺をやめて元気に生きようと言って別れた。


 だが私の場合、それは建前というやつだ。


 私はただ、暇がつぶせる人ができたから自殺をやめたのだ。まぁ、この時はそう思っていた。あれはきっと嬉しかったのだろう。


 そして彼女は見事闘病生活を終え、学校で私の親友という存在になった。


 高校は以前の私を知らない人しかいないようなところを選んだので、私の秘密を知っているのは高校で彼女だけだった。


 彼女は私にいろんな話をしてくれた。特に記憶に残っているのは、病院でいつも治療を励ましてくれたお姉さんの話だ。


 もうそのお姉さんは治せない病気で死んでまったらしい。まぁ、そのお姉さんの話はまた別の時に。


 高校生活を静かに過ごしていた私だが、2年になった時に私を変えた出来事があった。


 これはその時のお話である。


 では、どうぞ。

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