第140話 試合順と演出
「いったいどーするんだよ」
試合は次の日の夜という事でマダムに部屋を提供された4人、大谷は声を荒げ、焦りを見せていた。
腕を組んた陸は、麗奈に話しかける。
「戦う順番は考えているのか」
「何となくはね、でも迷いもある」
「俺からでも問題ない」
陸は、覚悟を決めているが麗奈はそれに、乗り切れなかった。
陸は、羅刹との戦いが控えている可能性があり、陸は今回戦うなら『裏』の技術を使うだろう、相手を壊す技をローズに使えば、今は余裕を見せているローズもスイッチが入る、先鋒が裏の戦いをすれば、次の選手もやりづらくなるだろう。
(私は、私達天上院は、裏に対応する技術はあるが、裏の戦いはしない、先鋒は私か真田か)
「真田は、どうなの、武器の使用は出来るみたいだけど、勝機はあるの」
「どうだろうな、自分の使い慣れた武器でも不安のある相手だな、ふざけた態度に見えたが、恐怖を感じたのも確かだ」
大谷は頭数には入らない、麗奈の中では、先鋒は頭の中でほぼ決めた。
「この戦い、私が、順番と戦略は決めさせてもらうわよ、みんなで一丸とならなきゃここで、ゲームオーバーよ」
そして、次の日の午後。
ホテルの大広間、テーブルも何もないただ広い、空間に、4人は呼ばれて会場に入っていた。
ローズは既に、会場の壁に寄りかかり、麗奈達を待っていた。
てっきり、どこかの地下に案内されると思っていたので、まさか同ホテルの別の階に連れて来られるとは思ってなかったが、中央にペストマスクをつけ、全身黒尽くめ人物が立っている事と、会場につけられたカメラの量にここが戦いのステージだと理解した。
「リングも何もない、このだだっ広い所で戦えってのか」
陸は呟いた、想像とは掛け離れていた。
「戦う選手以外は、中階段から、上へ、そこで試合をみる事が出来ます」
ペストマスクは、審判の役割らしく、麗奈達に指示を出すが、真田をそれを止める。
「ちょっと待て、武器の使用が許可されてる、武器はそちらで準備してくれてるんだろ」
「おお、これは失礼いたしました、ではこちらへどうぞ」
そう言われて真田は別室に案内された。
「最初は誰が戦うのかしら、先程の彼」
マダムの声が、スピーカー越しに聞こえ、麗奈はそれを否定した。
「いいえ、一番最初は、私が相手よ」
麗奈が出した答えは、自分が戦う事だった、勝てるかどうかはわからないが、これが最善の手に思えた、万が一相手が予想以上であったら、守りに入れば逃げきれるとも思ったからだ。
「俺と真田で削って、あんたが戦った方がいいんじゃないか」
陸は、麗奈に審判するが麗奈は問題ないと上着をとるノースリーブの姿になり、オープンフィンガーを装着する。
「このメンバーじゃ私が一番対応力が高し、削る戦いも出来る、いざとなったら守りきるよ」
(まぁ、弟より強いって事はないと思うけど、アイツより強いって、なったらチトまずいかな)
陸はこれ以上口出しをしないと行った様子で、麗奈に言葉をかける。
「死ぬなよ」
「縁起でもない事いうなよ」
大谷は腰が引けている、日本刀を手にした真田が戻ってくる。
「先発は、麗奈殿か」
「あぁ、俺達は捌けるぞ」
麗奈を残し、3人は上にあがると、ペストマスクの審判は、麗奈とローズに中央によるように指示をする。
「では、これから特別試合を行う、この裏闘技場では類を見ないラウンド制なので、私が仕切りさせてもらう事を、ご容赦を、3分経てばブザーで止める、ブザー後の攻撃は反則、その場で負けとする、挑戦者側が4名で戦い、時間切れ、あるいは1回でもダウンを取れれば勝ちとする」
そこまで、言うとペストマスクは両手を上げ、高らかなに叫ぶ。
「さぁ、皆様、ここからBetスタートでございます、Sクラスの闘士ローズは半年振りの戦いでハンディキャップマッチ、対するこの4人、只の烏合の衆と思うなかれ」
「その1人は、あの日本で影響力を持つ天上院我狼の娘、天上院麗奈、天上院格闘術をキックボクシングに落とし込む天才であり、女性でありながら、その実力は我狼に認められ、側近を務めるほどの兵」
「そして、また1人、最強の武術の名の高い修羅の一門の修羅陸、若いながらその実力は折り紙つき、皆様ならあの羅刹を狩る流派といえば、その力想像に優しいと思います」
「そして、ジャパニーズサムライ、真田剣之介、理真流という古流剣術を扱う彼はまさに、現代に蘇るサムライ、今回はハンディキャップという事で刀を使用しての戦いになります」
「そして、最後は、大谷カンナ、ボクシングをベースにした喧嘩屋、無名と侮るなかれ、この闘技戦士を倒した実績には確かにあります」
「さぁ、皆様、この試合、賭け金が偏り締め切りが早まる可能性がありますので、早目のBetをお願いします、そして、試合をお楽しみ下さい」
演出がかった口上に麗奈、失笑を見せる、しかし、この演出で少し緊張も解れた。
(さてと、やれる事やりましょうか)
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