第2話 阿修羅ちゃん、道場破りに会う

 大柄の体格の男が、ある道場の前に立ち、道場の看板に目を向ける、そこには、『修羅道』と書かれている、男はそれを睨みつけ、ゆっくりと敷地内に入っていく。


 男は、『熊殺鉄矢』と呼ばれる格闘家。


 身長2メートル、胴着の下から厚い胸板、太い手足、無精髭の面には傷が多くついている。


 熊殺は、道場の入り口を見つけ土足で上がりこみ、道場の中を見渡す、道場の中には、1人の少女が雑巾がけをしている。


 「あっ、どそくげんきん」


 青いロングヘアー、大きな瞳に、引き締まった肉体の少女は、指を指して注意する。


 その言葉を無視し、熊殺は話始める。


「おい、小娘、ここの道場主、一番強い奴と戦いたい、今すぐここにつれてこい」


 少女は、ムッとした少女を見せ何かいおうとしたが、熊殺の後方の中庭から1人の男が出てくる。


 長い髪を後ろで束ね、細いながらも締まった筋肉、顔の右半分には大きな傷が見られる。


 「なんだ、人の家に不法侵入か警察呼ぶぞ」


 熊殺は、その男にも不遜な態度を見せ挑発する。


「最強と言われた修羅も地に落ちたな、警察など呼ばずに道場主を呼ぶか一番強い奴を呼んで、俺と戦え、出来なければ、看板は頂くぞ」


 男は、ため息をついて答えた。

「不法侵入の次は、予告して泥棒か、どうでもいいが、一番強いのは、ほら目の前にいるぞ」


 そして、指差した先には先ほどの少女が立っていた。


 そして、少女は、胸を張り自己紹介をする。


「いかにも、私こそは、あの修羅一徹の才能を受けつぎ、父天外から技を引き継いでいる途中の、修羅最強の戦士」


「修羅阿修羅ちゃんだ」


 決まった、そう思いながら、ポーズを決める阿修羅ちゃん。

 熊殺鉄矢は、虚をつかれて、呆然とするが直ぐに高笑いをする。


 「何が、最強の一族だ、馬鹿にする気か?女子供に用はない、早く誰か呼んでこい」


 そう言うと、雑巾がけのバケツを蹴り上げる。


 その行為に、阿修羅ちゃんは、熊殺を睨み付け庭にいる男に話しかける。


「すっごく、ムカついた、陸、わたしがこいつやっつけるからじゃましないでよ」


 陸は、そう言われると手を前にだし、どうぞのジェスチャーをする。


 「おい、本気で行ってるかお嬢ちゃん」


 熊殺は、喧嘩空手をベースに数々のストリートで多くの格闘家を叩き潰してきた。


 弱い相手にも手加減は、しない。


 それは、異性に対しても子供でも、それが彼の流儀なのである。


 熊殺の周りが闘気で歪む、腕が身体がまた一回りは大きくなるような錯覚が起きる。


 陸と呼ばれた青年は、感心したように、目を見開く、これ程の闘気はなかなか目にかからない、そう思い場を見守る。


 しかし、陸は一切の心配はしていない、何故ならその相手は、阿修羅ちゃんなのだから。


 欠伸をし、お互いの初めの一手を見守った。

 

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