購買パンベスト3と先輩後輩

「せんぱ〜い…」

「どうした、その弁当忘れたんで一緒に購買行かないッスか〜って顔は」

「え、なんでわかったんスか?ストーカー…?」

「弁当持ってない上にこっちの顔色伺うようにチラチラ顔見てたらわかるだろ、アホか」

「あっ」

「まぁ、俺も買いに行こうと思ってたから行くか〜」

「え、先輩も忘れたんスか?」

「パンが無くて仕方なくな」

「珍しいこともあるんすねぇ…あっ、こうしてるうちに無くなっちゃうッス!!行くッスよ〜!!」

「はいはい」


「やー無事に買えて良かったッスね、先輩」

「せやな」

「なんで関西弁……なんスかそれ?」

「なにわぱん」

「なにわぱん」

「少なめの焼きそばとたこ焼きを3つ挟んだパン」

「喧嘩売りすぎじゃないッスか?」

「割と美味いぞ?」

「炭水化物まみれッスもんねぇ…」

「いや、お前のそれもなんだ?」

「ロールピザッス」

「なんて?」

「ロールピザ」

「ピザじゃないピッツァだ!!」

「それはサンドイッチじゃないッスか?」

「あ、上手いかも」

「そうでしょうそうでしょう」

「で、その得体の知れないギッチギチのクロワッサンみたいなのが」

「ロールピッツァッス」

「分かりづらいロールピザでいいだろ」

「いきなり梯子外すのやめません!?」

「マジでピザをまんま巻いただけだな…」

「普通に美味しいッスよ?」

「まぁピザだしな」


「はぁ〜、たまには購買もいいッスね!!先輩!!」

「イロモノ多すぎなんだが?」

「でも美味しかったッスよ?」

「んー確かに…謎だ」

「…」

「おい、不穏だぞ。なんで俺を見ながら思考の海に飛び込んでんの?」

「購買…イロモノ…制覇…」

「待て俺を巻き込むなやめろ」

「ねぇ、先輩?」

「やめろやめろ、お前だけでやってくれ」

「先輩にもやってもらうッスよぉ…そのためのプレゼンがあるんスからぁ…」

「はぁ?何言ったって俺がやるわけ…」

「先輩、購買のイロモノが多いって言ったッスよね?」

「お、おう」

「でも美味しかったッスよね?」

「まぁ…」

「そんな購買パンベスト3…考えたくないッスか?」

「…なるほどな。確かに普通はそんな意味わからんことに金と時間かけてまでやるわけないと言うとこだが…面白そうだな!!乗ったァ!!」

「よっしゃあぁぁッス!!どんだけかかるか分からないッスけど全制覇するッスよぉ!!」

「まぁ程々に、金かかるし」

「そッスね」


「先輩」

「2週間購買で過ごした後輩だ、面構えが違う」

「さて先輩、とりあえず放課後に集まりましたけど、ちゃんと決めてきたッスか?」

「当たり前だろ?むしろ序盤にMY1位が即決まってずっとリピりたい衝動と戦いながら購買行ってたんだからな」

「いや毎回買ってたじゃないッスか」

「我慢したとは言ってないが?」

「いや別にいいッスよ、その分金かかったのは先輩だけッスから」

「言うなよォ!!ったく、マジでどうしよう…」

「いやいいッスよそのノリ、もう一週間聞いてるッス」

「じゃあいいか、はよやろ」

「ホント情緒どうなってんスか…」

「いいんだよこんな企画楽しむしかないだろ」

「誘っておいてなんですけど先輩って見た目の割にこういうの好きッスよね」

「おう!!大好きだ!!」

「…っ!!何めっちゃいい笑顔で言ってくれちゃってんスか顔怖いッス」

「一言余計じゃい」

「まぁいいッス、それじゃ2人で決めて行くッスよ」

「購買パンベスト3、いいなぁホント、良い後輩持った」

「め、珍しくベタ褒め…良い後輩モテて先輩冥利に尽きるッスよねぇ!?」

「ああ、ホントだよ。お前が後輩でよかったよ」

「っっ!?ああもうなんスかなんなんスか早くやるッスよ!!」

「はいはい、照れなくていいのにな」

「なんスかぁ!?」

「なんでもねぇべ」

「キャラブレ先輩め…」


「じゃあまず第3位ッスね」

「何がいいかねぇ」

「とりあえずイロモノというよりゲテモノは全消しで」

「納豆とかはまだいいけど、何故かちくわにチョコ詰め込んでたり、刺身が味付けなく食パンに挟まれてたりな」

「あれマジでやばかったッス、マジで企画辞めようかと思ったッス」

「それは俺も」

「もう思い出したくながががががががが」

「ていっ」

「いたっ」

「正気を保て」

「すんませんッス…」

「よし、じゃあ第3位はどうしようか」

「何がいいッスかね…3位とか2位とかって1位より難しくないッスか?」

「確かに…」

「あ、でも候補あるぞ」

「え、どれです?」

「ふわもちさくかりとかいう食感の大渋滞、名前の意味もパン×4『パイトルタクーヘンタルト』」

「ああー…ああー……」

「このなんとも言えない食感、なんか甘いかしょっぱいかわからん薄味、変な名前とかいう」

「分かるッスよ、なんか不思議すぎなんスけど美味しいかどうかって言ったら美味しいような……というかあれ全部パンって意味なんスね」

「ということで食おう」

「何でもってるんスか」

「いいからいいから、ほいっ」

「むぐぅっ!?……んぐ、あぁぶないじゃあいッスかぁ!?!?」

「くはははは!!」

「まったく…ホントなんでこんな混ぜこぜパン……中華料理みたいな」

「は?……ああ、辛いけど次々食べちゃうみたいな」

「よく拾えるッスね」

「何となく気持ちがわかるからな」

「んーこれは」

「「3位の味」」

「ぴったりッスね」

「よしじゃあ3位は『パイトルタクーヘンタルト』で」

「名前だけなんかオシャレなのがムカつく点も3位感あるッスね」


「意外と3位早かったッスね」

「じゃあ次2位だな、候補は?」

「チーズカレーパン、ウインナーパン、クリームあんぱんとかッスかね」

「ほう、7種のチーズパンカレー風味、ウインナーが乱雑に埋め込まれた剣山パン、何をとち狂ったか左右半分にあんことクリームに分けられた勾玉パン」

「あえて言わなかったのに…発想がマジでおかしいッスよねあれ」

「カレー粉が練り込まれたパンにまさかの乱雑に切っただけの固形チーズが入ったパン」

「なんか、もう見た目がなんとも言えないどうやって焼いたかも分からない剣山パン」

「そして、シンプル頭おかしい説明する必要も無い勾玉パン」

「まだ3種類しか出てないのに思い出して吐きそうッス…」

「いや、候補が悪いだけだろ絶対」

「あ、じゃあアレがあったじゃないッスか。CLB」

「あー、お子様ランチパンを何故か直訳した奴」

「中身がしっちゃかめっちゃかなのに美味しかったッスよね」

「かなりでかいドームパンの中にお子様ランチ詰め込まれててな」

「自分でぶっ刺せと言いたげな旗がくっついてて、しかも何故かドイツ国旗」

「カロリーお化けだけどな…」

「子供の夢って感じで良かったッスよ!!5年に1回くらいでいいッスけど」

「うちの購買おかしいよなほんと、イロモノゲテモノで半分は占めてたぞ」

「しかも毎回完売してるらしいッス」

「絶対嘘だろ…刺身とかマジでヤバかったぞ」

「思い出したくないッス…」

「ということで」

「どういうことで?」

「ここにCLBがあります」

「だからなんでッスか!?」

「用意は必要だよな」

「用意が良すぎる、アニメ・漫画のメイドとか執事みたいな」

「さすがにそこまではなー」

「そうっすよねー…先輩、レモネード飲みたいなぁ?」

「はいよ」

「何でも出てくるじゃないッスか!!怖いッス!!」

「HAHAHA」

「というかどっから出したんスか!?」

「んー?…指パッチンするとー」

「CLBが落ちてきた…」

「俺の隠し芸」

「凄い技術の無駄遣いッスゥ……」

「にしても美味いな」

「はぁ……むぐ、おいひいッシュ」

「2位だな」

「そッスね、でもお腹がいっぱいっす」

「まぁまぁ、最後があるから」


「さてとうとう1位ッスか」

「これは満場一致でしょ」

「先輩毎日買ってたっすよね」

「いや、あれは予想外に美味すぎた…」

「まぁ、分かるッス」

「ただ、イロモノじゃないというか」

「いやこれイロモノパンベスト3じゃないんスよ」

「そうなんだけど、どう足掻いても勝てないと思うとねー」

「ボクも1位は先輩と同じッスよ」

「そうなん?」

「感動したッスからね、あんなに美味いのかって」

「1番普通すぎて逆にイロモノだった」

「そんな1位はシンプルイズベスト、プレーンのパン『まるブレ』ッスね」

「なんでこうネーミングセンスがさぁ…」

「まるパンで良かったッスよね」

「いやでもマジで美味かった、中がフワッフワもちもちで、プレーンだから好きに味変出来るし」

「『パイトルタクーヘンタルト』とは違って王道を行きつつ美味しさを追求したようなパンだったッスね」

「あれは味変しようとしたら何故か不味くなったからな…謎すぎる」

「じゃあ先輩、はい」

「なんだその手は」

「持ってるんスよね?」

「おま、人気パンだぞ!?」

「でもちゃんと確保してたッスよねぇ?」

「なぜ知っている…」

「こっそり買っててもお見通しッスよぉ〜、ちゃーんと2個買ってたのも見てたッス!!」

「ったくしゃーねぇな、ほらよ」

「毎度のことながらどっから出してるんスか、ありがとうございまス」

「おう」

「あれ?先輩は食べないんスか?」

「家でトースターで焼いてから食う」

「なんスかそれ絶対美味いじゃないッスか」

「購買の人に焼いた方が美味いって聞いたからな」

「いいッスね、結構食べたッスしボクも帰ってから食べるッス」

「それがいいな」


「じゃあベスト3無事決まったッスね」

「3位がパイトルタクーヘンタルト、2位がCLB、1位がまるブレだな」

「もう食べ比べしたくないッス」

「地獄の2週間だったな、イロモノゲテモノ尽くしで」

「まぁ楽しかったッスよ、先輩も一緒に食べ比べしてくれてありがとうございまス」

「気にすんな、俺も楽しかったからな。」

「良かったッス!!」

「じゃあ次は弁当ベスト3だな」

「…しばらく間空けないッスか」

「流石に空ける、主に精神面と金銭面の理由で」

「やっぱり痛手だったッスね…次からはちゃんと作ってこなきゃいけないッス」

「そうだな、ちゃんとしたもん食いたい」

「あ、また先輩のサンドイッチ食べたいッス」

「いいぞ、じゃあ弁当くれ」

「交換ッスか!!いいッスね!!」

「じゃあ下校時間も近いし帰るかー」

「了解っす!!ど、どうせなら先輩の好きな物作ってくるッス…よ?」

「マジで?俺が好きな物はなー…」






「昼ごはんの交換って恋人っぽい…ちょっと違うけど。よし、先輩の好きなものたくさん作るッスよ!!」

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