なにかがはじまるぱてーん

バブみ道日丿宮組

お題:今度の女の子 制限時間:15分

 家族に売られたと聞いたときは、終わりが見えた。

 身体もばらばらにされて、売られてしまうんだと思った。

 でも、今となったら絶望という感じはしない。

 むしろくるときがきたぐらいのちょっとした明るさが心の中で跳ねてる。

「こんにちわ」

 その日、少女が家を訪れてきた。

「これからよろしくお願いしますね」

「……よろしく」

 相変わらず可愛いこだった。ゴシックドールにしか見えない。僕の妹になる……もとい購入した人物は部屋を見渡す。

「ここは狭いので、広いところに引っ越しましょう」

「二人なら……ってそうはいかないか」

 少女の後ろには複数の使用人が見えた。彼らも住み込みでというのであれば、1LDKは狭いかもしれない。

「いくら私が小さいからといって、同じベッドで眠ることはないのですよ?」

 当たり前のことだ。

「でも、そういうのもいいかもしれませんね。お姉さまってのは今までいませんでしたから、甘やかしてもらうことにしましょう」

 少女が手をあげると、使用人の人が持ってたタブレットを少女に見せてくる。

「ここなら問題ないでしょう。すぐに購入の手続きと、あとこの部屋の解約、そして荷物を運んでください」

 ぱんと少女が手を叩く。それだけで使用人たちがそれぞれ動き始める。

 数時間も経たずとして、ダンボールに僕の荷物は収納された。

「では、行きましょうか。荷物はまだ入ってませんが大丈夫です。私の荷物は既にありますし、家具なども入ってます」

 もしかすると、来る前に決まってたことかもしれない。それはそういう演技をしたということになるが、真意はわからない。

「じゃぁ……僕が使ってたのは……」

「処分します。もちろん、販売してお金としてお姉さまにお返しします」

 それはちょっとうれしい。

「外に車を止めていますので、行きましょう」

 手を差し伸べられたので、握った。

 笑みが返ってくる。間違ってないようでほっとした。

 買われた僕はいつ売られたっておかしくない。なるべくへそを曲げるようなことはしたくない。

 一応家族として購入されてはいるが、お金持ちの気持ちはわからないので安定とはいえないだろう。

「あなたが表舞台に出ることはありません」

 車に乗るとそう言われた。

「家族として私たちは接しますが、それ以外はただの物としてみてくるでしょう。だから、慣れてください。パーティでも一緒に行きたいですから」

 お金持ち特有のイベントか。

「が、頑張ってみる」

 少女は未だに僕の手を握り続けてる。

「気になりますか?」

「う、うん」

「久々に人の温かみを感じましたので、離すのがもったいなく思いましてね」

 親の影が見えないし……独立してるのかもしれない。 

 そうしなければ、僕を買うなんてことはできないだろう。

「私は少し寝ますので、あなたもどうぞ好きにしててください」

 数秒も待たずとして、少女から寝息が聞こえた。

 僕はしかたないので、窓の外を見ることにした。

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