異世界転移したけどモブだったが夜、吸血鬼が俺のことを吸いに来る。
隴前
第1話
異世界転移、そう聞いてもあー、どうせこれね。となってきている。
もし実際に起きたとして、テンプレである魔王を倒すため、勇者召喚みたいのでクラス全員されたとしよう。
そして勇者だったのが自分ではなかったとしよう。さらに自分には役が存在していないと知ったら、それは自分がモブであることを察せる。
こんなことが実際に起きてしまったのだ。
そんなモブだった俺にも物語が存在した...
「今日も来たわ」
彼女は窓からやってきた。
「そうか」
俺は慣れたように首を差し出す。彼女も慣れたように俺の首にぷすりと歯を刺す。
彼女は吸血鬼、しかも魔王軍の幹部である。
しかし今日はやけに飲む量が多いな。
「ぷはっ」
「今日は多いな」
「仕方ないでしょ、勇者と一戦交えたんだから」
「どうだった?」
どうやら勇者は冒険が結構進んでいる。まだ2か月しか経っていないのにもう幹部と戦っているのだから。
「なんとか逃げ出したわ」
「はい?」
今なんて?
「逃げ出してきたわ」
「幹部としてはそれはどうなの?」
「別に問題ないわ、魔王様から危なくなったら逃げるようにと言っていたのだから」
「そ、そうか」
確かに命大事にという言葉があるのだから納得できる。
その情報を俺にバラしてもいいのか?という疑問になりながらもベットに寝ころぶ。
「私という魔王の幹部にして吸血鬼王の姫、エキドナ・スェーチがいるのに寝るんだぁ」
「だからなに?そもそもエキドナなら変なことしないでしょ」
ベットの上に座っているエキドナを見ながらそう言う。
「なら私が添い寝をしてあげましょうか?」
「俺と仲良く死にたいと」
そんなことして王城を巡回している使用人などにバレたら首が飛ぶに決まっている。
「冗談よ、さすがにここが
彼女は笑っている。どうやら半分冗談らしい。
そもそも勇者以外の転移者はこの王城の一室を借りて普段を過ごしている。一部は外に出て冒険しているが。
「でもこれぐらいはするわ」
彼女は俺の頭の位置に膝が来るように移動する。
「膝枕かい」
「そうよ」
これなら別にいいか。
にしてもエキドナは吸血鬼でしかも美少女だから何か嬉しい気持ちにはなる。
「勇者、強かったわ」
「そうか」
「一つ提案があるんだけど」
「却下」
「まだ言ってもないのに」
「魔王軍に来ないか?だろ」
「うっ」
そうみたいだ。転移者は
どんなにも強かろうと弱かろうと転移者がいるという牽制ができるのだ。
「もう寝る」
「お休み」
俺はエキドナの膝の上で寝た。
夢かもしれないがこう聞こえた。
「私個人としてだけどね」
どうでもいいが。どうせあまりにも眠たすぎて聞き間違いを起こしたのだろう。
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