絶対勝てるはずだった戦争に挑んだら帝国が滅亡した
れみおん
第0話 帝国の終わり
ー アシル帝国 首都ペテロ ー
「どこから私は間違えたのだ...」
天井には穴が空き、タンスが倒れた部屋で、皇帝プシノフは頭を抱えていた。
ドアが乱暴に開けられた。
「皇帝閣下、あなたを帝国犯罪法第81条、帝国危険曝露剤で逮捕します。」
ゲニエフ情報相が手元の紙を読み上げた。
「お...お前...」
「皇帝閣下、暴れることのないよう。」
ゲニエフの横から警官が出てきて、慣れた手つきで皇帝に対し手錠を掛けた。
「ゲニエフ...覚えてろよ...」
「また法廷で会いましょう。裁判は間も無く開かれます。」
「こんなの無効に決まっとる。皇帝の不逮捕特権は、10年前の法律で規定されてたはずだぞ。」
「つい10分前、救国戦線によって憲法並びに全法律は停止されたのです。今、我が救国戦線と皇帝陛下の施政のどちらを国民が望んでいるかは窓の外を見ればお分かりになろうと思います。」
「こんなことが許されると思ってるのか。特殊部隊が今すぐ貴様らを殺しにくるぞ」
「特殊部隊?そんなものとっくにいないではないですか。1ヶ月前、あなたが投入した戦線で全滅しましたよ。あなたにどのような情報が入っているのかは知りませんが。」
ゲニエフは横目でプシノフを諭した。
「そうか...」
全てを悟ったプシノフは項垂れた。
突然しゃがみ込み、横にいる快感を突き飛ばした。
靴のつま先から隠しピストルを出した。
囲んでいた警官の1人が思わず発砲し、プシノフの腹を撃ち抜いた。
プシノフは、隠しピストルのたった1発を自らの脳天に向けた。
「皇帝閣下!貴方は、生きて裁きを受けるべきです。あなたのために国民は何百万人も殺されたのです。あなたは償うのです。後世のために!」
ゲニエフは叫んだ。
「早く!医務班を」
「私は最後まで任務を遂行した。貴様とは地獄で会うことになるだろう。」
プシノフの意識はそこで途絶えた。
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