第7話 プーチン失脚、新生ロシア連邦の成立

 戦術核使用作戦計画はプーチンに上申された。背後ではイワノフと軍参謀が戦術を練り、どのように戦術核を用いるかを考案しはじめた。


 最前線では街区ごとの争奪戦が起きており、とてもではないがそこで戦術核を使えば膨大な死者が発生することが明白であった。


 イワノフは参謀たちに言った。


「この戦争は核なしには終わらない。だからといって、前線で使って死傷者多数となれば、ロシアの将来はない。偶発的不可抗力によって起きたものと世界からみなされねばならない。また、狙うのはウクライナとロシアの主要補給路だ。補給が止まれば戦うことなぞできなくなる。かつての戦車戦が起きた、平原を通る道路上だ」


 陸軍司令のアレクセイエフが言った。


「で、誰がプーチンに核を落とせと言わせるか、それが問題だ。誰も手を付けたくはない仕事だが。しかもプーチンが落とすというのなら、最前線というだろう」


 かつて、史上最大の戦車戦はツィタデレ作戦といわれている。独ソ両軍合わせて六千両の戦車が戦闘を繰り広げた。ハリコフを中心としたウクライナ平原地帯で争われたこの戦闘は見るも無残な光景を繰り広げた。


 それというのも、平原地帯とあって、両者の補給が十分であり、かつ正面衝突するには必須の条件が整っていたからである。そして、この後にかつての無残な光景が繰り広げられようとしている。両者の制空能力は拮抗しており、もはや陸上兵力での対決が目に迫っている。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る