ホントホント。神様嘘ツカナイ


 さて。神様から配当金分の補償をもらえるということで、ミーシャ選手のはずかしめに手加減をする必要がなくなった。

 が、ふざけた戦いをすれば審判に反則を食らってその時点で負けてしまう。


 審判に止められない程度に真面目に戦いつつ、辱める……うーん、難しい! 


「ねぇミーシャ選手。私と一つ賭けをしない?」

「賭け? お金ならスッカラカンにゃ! ファイトマネーが待ち遠しいにゃ!」

「じゃあ、ミーシャ選手が私に勝てば、金貨1枚あげる。私がミーシャ選手に勝てば――今着てる服を、剥ぎ取らせてもらう。どう?」

「にゃあ!?」


 顔を赤らめて一歩後ずさるミーシャ選手。


「ガキも見てる大会にゃよ!? 何言ってんにゃこの変態! ニンゲン! 万年発情期!!」

「……カリーナ選手……?」

「違うんです審判さん! ほら、相手が女性だから、本気を出すためには仕方なくて! その、私ってば野郎相手には無敵なんですが女の子相手には色々条件があって!」

「む、そうなのか?」


 と、私の苦し紛れの言い訳に「そういう制約か……ふむ」と何か納得する審判さん。


「そういう事情であればここは見逃したいところだが……この大会は神前試合でもある。神様に不真面目な戦いを見せるわけには――」

「!」


 そうか、神前試合。どうりでさっき神様の声がクリアだったわけだ。

 それを聞いた私は、選手宣誓のように手を挙げて宣言する。


「私の戦いは、神様に恥じるところは何もありません!! 神様に誓って!!」

「……本当か?」

「むしろ神様を喜ばせるために全力を尽くしています!!」


 私の戦い方は神様からの要望なので、神様に対して恥じるところは何もないのは真実である!


『あ、じゃあ神様なんか光らせて支持を表明しときますね! 審判ごときに止められるわけにもいかないので!』


 と、会場の舞台を見下ろすように飾られていたナイスバディな女性像が光った。こういうときかみとズブズブなのって強いぜ。

 いや、そもそも神様の横槍がなきゃ普通に戦ってただけなんだけどもね。


「! し、神像が光った! まさか本当に……!?」

『ホントホント。神様嘘ツカナイ。まぁこの声カリーナちゃんにしか聞こえてないけど』


 待ってください神様? その女性像、私の知ってる神様のお姿とだいぶ違いますよ?? それを神像ってのは嘘じゃないんですか??


『ここの職人が勝手に神の像だって言って作っただけで、私がこの姿だと言ったわけじゃないのでセーフです!』


 アッハイ。……さーて、そんじゃミーシャ選手。再交渉といこう。


「……あー、その。さすがに全部引っぺがすのはアレだから、靴下だけにしとくね?」

「お、おう……まぁ私が勝てば金貨1枚もらえて何の問題ないコトにゃ!」


 同意がとれた。……くっくっく、計画通り!

 最初に全身引っぺがすと言っておいてから下方修正することで、受け入れやすくなるアレなのだ……!



 さぁ、改めて舞台は整った。ミーシャ選手や、良い感じに踊ってくれたまえよ?


―――――――――――――――――――――――――

(ディア君出る「あとごじ」2巻の書籍化作業が……終わらない!!

 なんか加筆修正+書下ろし率、ほぼ100%になりそうな予感!! やべーよゴメス!)

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