準決勝、VS猫獣人ミーシャ
「にゃーっはっはっは!! 私は運がいいにゃ! バルバロス様やガロウ将軍じゃなくて、こんな弱そうなメスニンゲンだなんてにゃあ!!」
と、その二人に楽勝で勝った私を前に、ミーシャ選手はそう言った。
ミーシャ選手は、わりと人間に近いタイプの獣人で、顔が少し猫っぽくありつつ猫耳としっぽが生えているのみ。身軽な格好で、上はチューブトップ、下はスカートでスパッツ。
そして、ブーツと横縞ニーソだった。
縞ニーソだった!!!
「なんてことだ……ニーソを履いているだと!! これは……強敵だな!」
「にゃーっはっはっははは! 良く分からないけど恐れおののくがいいにゃ!」
ここまで勝ち残っただけあってそれなりに強いのだろう。
が、それでも私が勝つのは簡単だ。勝つだけなら。
……どうやって、羞恥を煽りつつ靴下を奪い取るか……! それが難問だ。
これは確かにアイシアの言った通り、この大会一番の難敵で間違いない!
まぁアイシア的には「あるじ様、女性にお優しいので……」という理由で、靴下云々は言ってなかったけど。
尚、ミーシャという名前は猫獣人に良くある名前らしい。
「試合開始!!」
「先手必勝にゃぁーーーーーーーーーー!!!」
と、ミーシャ選手がものすごい速度でジグザグに走りながら距離を詰めてくる。
右か左か、いや、上、とみせかけて下だッ!! 私の股下を潜ろうとしてきたミーシャ選手を、私は足で挟んで止めた。
「ぎにゃ!?」
「くらえ、変則フランケンシュタイナー!!」
そして挟んだままミーシャ選手ごとジャンプ。空中ブランコをするかのように、私は空中でミーシャ選手を足に挟んだままバク転。その勢いでミーシャ選手の頭を地面に叩きつけてやった。
「ぷぎぇっ! い、いってーーーーーにゃぁーーーーー!!!」
「お、さすが準決勝までくるだけのことはある、頑丈だね」
「あおぅ、お前も私のスピードについてくるとはやるにゃぁ……!」
私から逃れて立ち上がるも、フラフラと足元が覚束ない様子。
明らかなチャンス。だが私は、あえてそれを眺めてみる。
「ほぉーら、早く立て直しな? 私は待っててあげるから」
「ハッ、その余裕が命取り……ッて、なんでスカートめくるにゃ!? ちょ、離すにゃ! やめ!」
「中にスパッツ履いてんじゃん、いいじゃん減るもんじゃなし」
「めっちゃ周りに見られてるにゃ!! 気力が減るにゃぁあ!!」
殴ってきたので避けて距離を取る。
そして念のため確認したが、ちゃんとニーソだったぜ。ニーソに見せかけた体毛とかじゃなかったぜ! やったねミーシャちゃん、君は私の獲物だよ!
「まずは……そのスパッツずり降ろしてやろうかなぁ」
「おま……な、なにを企んでるにゃ!?」
スカートを押さえつけながら、あちらも距離を取る。――私がなにを企んでるかって?
決まってんじゃん、羞恥でお前の靴下の味を高める事、だよォッ!!
「カリーナ選手。真面目に戦いなさい」
って、審判から注意されてしまった。
「……やだなぁ、私が真面目に戦ったら瞬殺ですよ審判さん。だから盛り上げるために仕方なく? ね?」
「それは相手に失礼だろう。次不真面目に戦うようであれば、反則をとるぞ」
ぐぬぬ、おのれミーシャ、審判を味方につけるとはなんという強敵……!!
まじめに戦いつつ辱めて……いやだめだっ!? 靴下を奪う段階で不真面目判定されるに違いないぞ!?
「……くっ、命拾いしたなミーシャ。ここからは本気で戦ってあげよう」
「は? テメー本気じゃなかったってのかニャ?」
さすがに金貨820枚を失うことと天秤にかけてまで靴下が欲しいわけでもないんだよ私は!!
『神様は欲しいですが?』
神様ぁ! 急に割り込まんといてください! このお金はディア君とマシロさんの分も含まってて私だけのお金じゃないからダメなんですよッ!!
『あ、じゃあミーシャちゃんの靴下には金貨820枚、いえ、金貨1000枚をオマケに付けてあげるんで!!』
「やっぱり事情が変わった。私はここで負けてもいい……!」
「な、なんなんにゃコイツ。情緒不安定すぎる……月の日かにゃ?」
神様の声が聞こえていないミーシャ選手には分からんだろうね。
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