私はディア君に謝った。
靴下を回収したところで、私はディア君に謝った。
さすがにちょっとやりすぎたと思ったので……うん。
「ディア君ごめんね? 恥ずかしい思いさせちゃって……」
「い、いえ。……その、全く理解が及ばないですが……これも世界を救うために必要なことなんです、よね?」
「うぐっ……そ、そうだね……!」
聖母かよ。
稼いだSPをタペストリーとかに使っちゃってごめんなさい……!
でもディア君を照れずに愛でるための練習でめっちゃ使ったので経費です!
……いや少し言い訳させてくれ。
この世界は神様がエネルギーを持ってきてくれる限りは滅びない。そしてディア君の靴下は神様の『世界への興味』を保たせるための優秀な『贄』……!
つまり、ディア君が恥ずかしい目に遭うコトは、本当に世界を救うことに繋がる……!
よし、言い訳完了。私、嘘は言ってない! メンタルリセット!!
「でもお姉さんも午後の大会ではドレスを着て参加するんですよね?」
「うん。白ゴスロリドレス。下着もちゃんとディア君の履いてたのと同じデザインの紐下着だよ……あっ! 大会終わったらディア君に下着あげるから許してね!」
「え、あ、いやっ、そこは別にっ! もう許してますから!!」
少し照れながらディア君はそう言った。許された。かわよ。
「私の下着、いらない?」
「……っ、だ、大丈夫です……」
本当は少し欲しそうに目を泳がせてる……やっべ、ディア君からかうの楽しくて癖になりそ。すでになってる疑惑ある。キュンキュンする。……下着が渡せなくなるな……!
『姐さん、そろそろお時間っすよ』
「おっと! もうそんな時間か。それじゃ行こっか、アイシアが場所取りしてくれてるし」
「はい、応援しますね! あ、着替え――」
私はディア君をアイシアの所へ送った。
さーて、私は私で選手控室の方に行かないとねっ!
『姐さん。ディア君ちゃんまだ着替えてなかったっすけど。わざとっすね?』
「ナイスアシストだったよアーサー。うまくすればもう1足稼げるかな?」
しかもノーパンである。私はそっとまだ温かい可愛らしい布を仕舞った。
というわけでゴスロリ服に着替えて、ガチャっと選手控室に入るように自然に転移。
控室にはたくさんの選手がいる。わぁ、筋肉モリモリマッチョマンだ、強そう。
あっちは顔が虎の獣人が。これもまた強そう。
むくつけき男達の祭典!って感じ? 美少女の私、場違いが過ぎる。
弓を手入れしている男エルフさんくらいしか細い選手がいないなぁ……。もっとこう、美少女剣闘士とかいねぇのか? むさくるしい部屋だぜ。
アイシアに探してもらった大会だから、賞金には問題ないだろうけど……
あ、ディア君から受け取ったお金を、今度は私に賭けないとね。
私は他の選手の視線に気圧された風を装い、控室から出て受付へと向かった。
受付の人は私に気付くと、ニコッと笑う。
「あのー、選手は自分の勝利には賭けられるんですよね?」
「はい。えーっと、Dランク冒険者のカリーナさんですね。おいくら賭けられますか?」
「じゃ、私の優勝に金貨82枚で!」
「……はい?」
私は先の大会でディア君が貰った報酬――賭けの儲けとファイトマネー、大金貨8枚と金貨2枚を受付に置く。
「……本気ですか?」
「本気ですが」
確か、選手が自分に賭ける金の上限はなかったはずだけど? と首をかしげて見せる。
「……受け付けますが、負けた際は銅貨1枚も返ってきませんからね?」
「ええ。問題ないです。よろしく」
「オッズの計算どうなるんだこれ……」
金貨82枚分の賭け札を貰う。
――結果、私は
――――――――――――――――――――――――
(とりあえず2巻の! ディア君の! 書籍化作業じゃぁい!!)
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