せっ……したいの……
「カリちゃん……お願いっ、ウチ、もう我慢できないっ」
「んんー? まったくミーちゃんってば。そんなにしたいの?」
「うん、したい。せっ……したいの……」
「小さな声で良く聞こえなかったよ。何がしたいって?」
「えと、せっ……」
「せ?」
「せっけい! 設計したいのぉ! ウチの工房、設計させてぇ!」
はい、というわけでミーちゃんを筆頭に
みんなを拠点に招待して、各々の部屋と工房予定地を見せたら我慢できなくなった模様。
どこから取り出したのか『たんがんしょ』とか『じきそ』とか書かれた手紙を竹の棒の先につけて突き出してくる。可愛い。
「というわけなんだけど、設計までならさせてもいいかな、ディア君?」
「……返納式の計画も順調ですし、設計までならいいですよ」
ディア君がそう言うと、みんなはぱぁーっと笑顔になった。
「ありがとうディアちゃん! お礼に今度とびっきりの可愛い服プレゼントするね!」
「折角だしエンチャントいっぱい乗せよ。カリちゃんの仲間だし本気出していいっしょ」
「じゃあわっち下着つくる。カリちゃん好みのエロいやつ」
「まって、ディアちゃんエルフ的にはまだ子供だからエロは少し抑えてキュートに」
「清純派美少女。いや、ゴスロリってのがいいかな、アクセサリーも盛れるし」
よかったねディア君。五大老謹製の服が貰えそうだよ。
……あれ? これディア君も五大老の皆と結婚ってことになるのかな?
「ウチたちから一度カリちゃんにあげるから、そこからディアちゃんにあげてね」
「設計許可という報酬ありきだから、あちき的にはフツーにお仕事かなぁ?」
「わっちは一向に構わん! 孫みたいに思ってた」
「え、ディアちゃんカリちゃんのお嫁さんでしょ? アイシアもお世話になってるし、もう家族だよ」
「とにかく飾りたい。エルフ美少女が可愛いし私は細かいことは別にいいよぉ」
んー、うん。とりあえずワンクッション置けばいいのかな?
尚、今更ながらに五大老全員の紹介を腕前順にしておくと。
1位、ミーちゃん。本名はバーミリオン。髪飾りをくれた子。一人称ウチ。女王様。
2位、シーちゃん。本名はマヘーシバラ。ナイフをくれた子。一人称あちき。
3位、アーちゃん。本名はアンバー。収納ポーチをくれた子。一人称わっち。
4位、クーちゃん。本名はカーバンクル。指輪をくれたサティたん&アイシアのおばあちゃん。一人称あたし。
5位、ルーちゃん。本名はバールゼブル。コップをくれた子。一人称は私。
今の五大老は全員名前に「バ」が入っているので「バー様達」とか纏められたりもするそうな。なるほど、バーちゃんズ。
「ところでひとつ気が付いたんだけど……五大老みんなの分の部屋を拠点に作ったら、現地妻じゃなくて通い妻になるのかな?」
「ドワーフ的にはもう同居では? 私の里よりも移動距離近いくらいですし」
私の疑問にアイシアがするっと答えた。
自分の部屋にある扉を開けたら拠点に着くので実質同じ建物、か。そっか。
「すごいよぉ、土地のサイズも自由自在だし、倉庫もジャンル別にいくらでも並べ放題、素材の劣化もないのが作れるんだって」
「ええっ! じゃあ季節の違う素材で新鮮なヤツ同士を使うとかもできるじゃん!」
「ポーチ、自信作だったんだけどもなぁ。別の作ってカリちゃんにあげなおそ……」
「ねぇアンバー、なら寝具作って寝具。工房に置く分もついでに」
「危険な調合も実験し放題……最悪区画ごと隔離して消去? すごっ」
物作りが得意な現地妻ちゃんたちにかかれば、私の能力は大変魅力的すぎるようで。
これ、工房が凄いことになりそうな予感……!
「……一応、自分が入ってきたところから以外は出られないようにしとくからねー?」
「条件で寄り分けができるの!? どういう原理!?」
「ねぇそれで混ざった液体を分離とかできる?」
「少なくとも不純物の濾過はできるよね? 頼めばやってくれる?」
「特定の物質だけ通過させないようにして、それを含む合金を作ったらどうなるの?」
「見えない壁とか色々できそう。容器にもできるかな? 炉をそれで作るとか?」
まってまって、奥様達の好奇心が旺盛すぎる。
子供ってそういうとこあるよねー。なぜなぜ期とか言うんだっけ? 可愛いなぁ~。
「おっ。工房の中に大きなベッドルームを作るんだね。みんなで寝れるね」
「うん。カリちゃんとウチたちの愛の巣、みたいな? 作らない理由がないよ」
「アンバー、もといアーちゃんの作るベッドはテッシンで有数の高級品なの」
「腕によりをかけて作るね。あ、わっちらのカラダはカリちゃんの好きにしていいよ」
「いつでも遊びに来て。あたしらカリちゃんなら大歓迎だし」
「ホント毎日でもいいから! 私達、若返った身体を持て余してるから!」
一言声をかければ5倍返ってくる。愛が強い。可愛い。
「いやぁ、これ一気に拠点の住人が増えちゃったなホント。私じゃ色々制御不能だよ、ディア君に任せよう」
「……Aランク冒険者のマシロ様。が、畏怖するドラゴンのアーサー。を、素材として扱うドワーフの国テッシンを束ねる五大老。を、完璧に制御するディア様……ってことですね、あるじ様」
「わぁ、ディア君すごーい?」
「この場合カリーナお姉さんが凄いんじゃないかと思いますが」
私はマシロさんに良いように翻弄されてるから、むしろ一番下かもね。
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(11/20、あとごじ1巻 発売だよ!!
……電子版特典SSのアンケが終了したのでSS書く!
ストック切れてるので更新は……なるべくがんばる……応援して……!)
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