キャバクラで財布の中身お金ばらまいて破滅するタイプ



「なぁ、継母かあ様って呼んだほうが良いか?」

「やめて? それ私アイシアのおばあちゃんって事じゃん」

「なーに、細かいことは気にすんなや。酒飲んで一緒に騒いで寝たら家族ってコトよ!」


 がっはっはと豪快に笑う里長。


「ドラゴン素材あげただけでこんな……いいのかなぁ」

「だけって。ばーさま達をあんな若返らせといて何言ってんだよ」


 若返らせ!? なにそれ私知らないんだけど!?


「あー。あるじ様はドワーフの年齢が良くわからないんでしたね」

「わかんないけど! 若返りって何!? 私何しちゃったの!?」

「こう、目元に手を当てて『美容整形マジックでぇーす』と」


 小じわとかを消したらしい。やっちまったなぁ!


「さらに赤いポーションを飲ませて」

「えっ、あ、この間作ったカリーナちゃんポーション!? アレ人に飲ませちゃったの!?」

「さすがにお酒で割ってましたけどね。1滴をコップ一杯で。おかげで加齢で淀んでたマナが一気に改善されて」


 外面も内面も若返らせてしまったと。

 五大老の婆様たちを、ドワーフ基準でもロリババア――とまでは行かずとも、美魔女くらいにまで。

 人間からしたらパーフェクトにロリババアです本当にありがとうございました。


「靴下と交換であれ一本ずつもらったおばあちゃんたちはそりゃもう大喜びでしたよ?」


 自分用の複製品だったんだけど……うう、まぁプレゼントだしいいか。私素材だから作ろうと思えばいくらでも作れるわけだし。


 ……ん?

 もしかして貰ったプレゼント達、私ポーション隠し味に使ったりしてない?

 割とドラゴン要素なくて空間魔法っぽい効果なのってそのせいだったり……?


「勇者殿がモテるのも当然ってわけだな」

「ああうん。ってか、そりゃーモテるわ。モテないほうがおかしいわ」


 キャバクラで財布の中身お金ばらまいて破滅するタイプだ私。


 お酒だ。なんもかんもお酒が悪いんや!!

 もうお酒はこりごりだよぉ……!! トホホー。





 これ以上のやらかしが出る前に、アイシアの故郷、ドワーフの里を後にする。

 もちろん五大老げんちづまをはじめとするドワーフのおばちゃん達には盛大に引き止められたが、ロリハーレムに後ろ髪を引かれながらも私達は里を出た。


「いやー、なんか凄いところだったね」

「ええ。こちらもそれなりに大変でした」


 ディア君、子供部屋でもモテモテだったらしい。

 大人になったら酒宴に、とか誘われたそう。……今から戻ってそいつのアレ落としとこうかな。


「あるじ様、うちの家族がすみません」

「あはは、子供の言う事なので大目に見てあげましょう」

「……ま、ディア君がそういうなら」


 むしろ性癖を歪めてしまった可能性まであるし、今回は許してやるか。


「それに、僕よりもアーサーの方が大変でしたよ」

『おう……ガキどもは遠慮がねぇもんで。鱗を1枚毟られたっす……』


 ああ、それでなんかぐったりしてたんだね。え、それは子供たちに乗られまくったから? そっか、子守お疲れー。


「普段はイタズラをとめる子守のおばあさんがいるらしいんですが、今回はいなかったみたいで」

「あー……」


 それ多分私が侍らせてたからだね。うん。


『あ、これ毟られた鱗の代金っす。親御さんが真っ青な顔して渡してきたんで受け取っといたっすよ』

「鱗返してもらったわけじゃあないんだね。ああ、アーサー君の小遣いにしていいよ」

『お、やったー! 毟られた甲斐があるっす!』


 お金の入った革袋を持ってアーサー君は喜んだ。

 いいのかそれで。ドラゴンの誇りとかは。……誇りがあったらペットなんてしねぇか。


『てか姐さん、それ自分の素材っすよね。へへっ、大事にしてくださいよ!』

「ドラゴン的にはドラゴン素材使ってるアイテムってどうなん?」

『んん、説明が難しいっすねぇ。骨とか魔石とかならともかく、そのくらいなら鳥が抜け毛で巣を作るような感じっすかね? 目くじらたてるようなモンじゃないっす』


 ほーん、意外と寛容。


『まぁ見合わないヤツが持ってたらブチ殺したくなるっすけど』

「あ、そこはそうなんだ」


 姐さんに装備してもらえるのはむしろ誇らしさしかないんで大丈夫っす!! とのこと。



 まぁそんなこんなで、私達はドワーフの国テッシンの首都、アカハガネへと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る