なんかおかしいような……?
「ようこそテッシンへ。……どんだけ腕に覚えがあるかは知らんが、死なないようにな」
「大丈夫、死なないよ。私は強いからね!」
ドワーフの入国管理官に見送られ、私たちは入国した。
この先、国内にサンダードラゴンがいるらしい……楽しみだな! ディア君の「なんでも」のご褒美もあるし……じゅるっ。
はっ。いかん、ディア君は観賞用美少女。観賞用美少女なんだ!
最近うっかり忘れがちだけど、一応男!
いっそこの「なんでも」で一緒にお風呂入ってディア君のディア君を目視確認し、しっかり男だと確認しておくべきか?
折角男の恰好もしてくれるんだから忘れないようにしなきゃ……うん。
うん? ディア君が男装するのはディア君が男だってことを忘れないようにするためで、私がそこ意識するのはなんかおかしいような……? ……んーと。えー?
「さ、さーて、というわけだから早速ドラゴンをぶっ殺しに行くぞー!」
気を取り直して国境から国内へと進んでいく。
「デカいからすぐ見つかるかな?」
と、爆走させている車の上に仁王立ちしてキョロキョロと周りを見る。
車自体は別になくても構わないのだが、魔法の絨毯的な?
大きな音や土煙を立てればあっちからやってくるかもしれない、という計算もある。
「うーん、気配を探って……あっちかな!」
私の根拠のない勘がそう言ってる。よし。いくぜいくぜー。
と、森近くの道を走っているとドラゴンとは全く関係なさそうなモンスターが現れた。蛇のしっぽを持つライオンだ。……キマイラ? なんかな? よく分からん。
とりあえずスパッと首を落として回収しておく。
「折角だし、もっと美味しそうなモンスター出ないかなぁ。あ、そうだドラゴンって美味しいのかな? ドラゴンステーキってのもロマンだよねぇ……」
ディア君とアイシアは車の中――もとい、拠点で車を改造中なので独り言だ。
ん? 車の改造中ならこの車はなんなんだって?
バックアップの複製品だよ。改修するならバックアップを取っておくのは常識だ。
というか
と、爆走しながらついでにデカい蛇が見えたので狩っておく。こういうの、開いて焼くとウナギみたいで美味しかったりするんだよねぇ。かば焼き……白焼きもアリだな。
ん? あ、やっべ。顔に斬り傷がある。誰かの獲物だったかー、横殴りしちゃった。さっさと逃げよ。
「にしても、ドラゴンどこだよ。おーいドラゴンやーい……お?」
進行方向からこちらに向かって走っている大型の生物を見つけた。
トカゲ……デカいトカゲ? いや! イグアナ! もしや目的のドラゴンか!?
……と思ったが、よく見たら幌馬車を引いている。騎獣とかそういうのの一種のようだ。残念。と、すれ違う瞬間、必死な形相の御者に声をかけられた。
「おい逃げろ! 後ろにドラゴン!!」
「え、マジで?」
簡潔に告げられた状況に、思わずにやりと笑みがこぼれる。
やった。見つけた。
確かに更に後ろに、黄土色の敵影を確認。こっちは明らかに「ドラゴン!」としか言いようのない、背中に羽の生えたカッコいいドラゴンが低空飛行で迫っていた。
思ってた以上に簡単に見つかった幸運に感謝!
……え? 普通はドラゴンと出会った不運に嘆くって?
知らねぇなぁ! 私ってば最強無敵美少女のカリーナちゃんだから!
「正面から行ってぶっとばす、右ストレートでぶっとばーす! てーい!」
私は車に乗ったままドラゴンに向かって突撃し、右ストレートをその顔面に叩き込む。
空間魔法で保護された右腕は容赦なくドラゴンの顔面にめり込むようにあたり、牙が折れた。
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(7月になってしまった……(書籍化作業継続中))
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