帝国! そういうのもあるのか。
「そうだ、こちらにも連絡用のアイテムを渡そう」
と、マシロさんに渡した勾玉と同様のものを5個作り出し、テーブルに置く。
「何かあれば軽くたたき話しかければ我に声が届くアイテムだ。効果は余裕をもって2週間だ」
「これは……そんな貴重な魔道具を。協力感謝する」
魔道具ではないんだけど、ツッコミは入れないでおこう。ヒーラー氏は魔道具も作れる設定だし丁度いいや。
「それとヒーラー殿。もう一つお願いがあるのだが、良いだろうか」
「む? なんだ? 内容によるぞ」
「ダンジョンのコアに仕掛けられていた爆弾のことでな」
あ、そういやそんなのもあったな。
「おっ。なんだギルマス、アレもうなんか分かったのか? 調べるの早いな」
「当たり前だろう白銀。ダンジョンの一大事だぞ、もっとも昨日お前が持ち込んだ時点で俺にはある程度は見当がついていたけどな」
「へぇ、だったらもっと早く言ってくれりゃいいのに」
やれやれ、と肩をすくめるマシロさん。
ガルオーンはそれをフッと軽く笑い飛ばす。
「個人の勘で迂闊なことを言えば国際問題になるだろう? まぁ、調べさせた結果はその通りだったわけだが」
「ん? ってーことは、他の国が絡んでたって事か。帝国か?」
「うむ。あれはどうやらギドラーガ帝国の仕業らしい。結界の魔道具を掻い潜ってコアに爆弾が仕掛けられていたということだ。……結界が掻い潜られた事自体は、さほど不思議でもない。帝国は錬金王国に次ぐ魔道具先進国だからな」
ギドラーガ帝国! そういうのもあるのか。
「ガルオーン殿。ギドラーガ帝国とは? すまんな、俗世には疎いのだ」
「そうなのか。では説明しよう」
名前も濁点いっぱいでカッコいいぞ。悪の皇帝とかなのだろうか。ちょっとワクワク。
「ギドラーガ帝国はこの大陸の半分を支配する大国でな。奴らは『ダンジョンは世界のエネルギーを吸い取る悪しき存在であり、このままでは世界が滅亡する。ダンジョンの数は減らすべきだ』という主張をしていてな……我らパヴェルカント王国とは相容れぬ存在といっていい」
あ、それ真実ぅ。帝国さん正しいこと言ってたぁ……
正確にはダンジョンだけじゃなくて神器全般だけども、何一つ間違ってねぇじゃん。
「ならまずは自分の国のダンジョンを破壊しろという話だが、実際減らしているしな……流石にすべては壊さないようだが、確実に減らしている」
「それで、他の国にまでそれを強要してるわけか」
ん? それじゃあなんでコアに爆弾をつけてすぐに爆破しなかったんだろう。聞いてみるか。
「とっとと爆発させてしまわなかったのには何か理由があるのだろうか?」
「ウチの錬金術師が言うには、数日後の新月の日に爆発するようにタイマーが仕掛けられていたそうだ。恐らくだが、コアが弱体化するタイミングを狙っていたのではないか、と」
ダンジョンの破壊をしちゃう帝国さんは、ダンジョンの研究も進んでいるらしい。
確実な破壊をもくろんだ結果、弱体化した日を狙ったってとこか。
実際、私が見つけてなかったら爆破されていたところだったものなー。
「ふむ、マシロ殿。新月の日にはコアが弱体化するのか?」
「いいや、むしろダンジョンが活性化するぞ。モンスターが増えるんだ」
「白銀の言う通りだ。しかしダンジョンの活性化は逆に『コアが弱まるから周囲を固めている』というのであれば辻褄が合うと思わないか?」
「お、確かに! さすがギルマス、頭がいいぜ」
ほお。なるほどそういう見方もできるな。
「それでだ。新月に向けて爆弾を仕掛けた工作員が動くのではないかと予想される。あちらにはまだ爆弾が取り除かれたことは気付かれていないはずだが……そもそも工作員がどうやってダンジョン奥まで行ったのか、という問題もあってな」
「そうだ、扉番! 扉番に聞けば怪しいヤツが分かんじゃねぇか!?」
「……ちなみに状況だけ見たら一番怪しいのはヒーラー氏だがな」
ん? 私?
「扉番を無視して下層まで行っていたし。そもそも、コアに爆弾が付いていたと言うのも嘘で、持ってきた爆弾を白銀に見せて騙しただけ――という可能性もあるしな。これならコアの前に張ってある結界を抜ける必要もない。加えて、その風体……」
……確かに、怪しい要素しかないな?
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(作者のやる気やモチベのために、☆レビュー&レビューコメントしてもええんやで…!?(チラッチラッ))
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