森の中のログハウスって猟奇的
というわけで改めてダンジョンの森へとやってきた。
うっそうと茂った森、たまにある陽だまりをたどるように進んでいると、襲い掛かってくる虫系モンスター。
森なんだからもっとこう、虫以外のモンスターも襲い掛かってきてもいいと思うんだけどなぁ。植物系とか、動物系とか。この森、ゴリラとかいねーの?
進む道を伐採するのも面倒なので、
振り返れば私の通った跡が道になっていた。我が前に森が立ちふさがり、我が後に道ができる……!
「って、まっすぐ歩いたつもりなのに随分曲がってんなー。っと、いや違うなコレ」
私が歩いた足跡は確かにまっすぐ。しかし、木の方が道を隠すように動いていた。
その木に近づいて、ぺしぺしと平手打ちする。おう、コラ。動けるんだろお前? タネは割れてんだよ……トレントだろ、お前! ここトレント材も採れるんだねぇ!
「木こりカリーナちゃんの出番だぜぇ!! ひゃっはぁ、伐採だー!」
すぱーん! その木を空間魔法で切り倒すと、周囲の木がぞわっと怯えるように動いた。
アーハァーン? 今動いたやつ全部トレントだな? 結構な数あるじゃねぇの。
私が笑顔を浮かべると、失礼にもトレントどもはガサッと私から距離を取ろうとしてきた。おいおい、侵入者を襲うべきモンスターが、なんでそう逃げ腰なんだよ。トレントに腰あるのか知らねぇけど。
「逃げる奴はトレントだ、逃げない奴はよく訓練されたトレントだぁー!」
そう言って近くのトレントから手あたり次第切り倒していく。お、レッドホーネットの集団。もしかしてここ深層なんだろうか? おっと、赤いカマキリ君。昨日もいたね、あれは別個体だけど。あ、デカいムカデ。君は初見だねぇ。はいザックリ。
寄ってきたちょっと強そうな虫モンスターも、トレントのついでに片っ端から薙ぎ倒す。
倒したら収納空間にポイして消えるので、足場の邪魔になることもない。
そうして気が付けば、ぽっかりと土がむき出しの広場が出来ていた。
結構な広さである。木がないから空がきれいに見えるなぁ。……うん、ここにトレントでログハウスを作っても面白いかもしれん……いや、やっぱやめとこう。トレント側から見たら仲間の死体を目の前で積み上げ弄ぶ極悪非道だ。
「森の中のログハウスってよくある光景だけど、木の視点で見たらちょっと猟奇的だよなぁ」
そんな独り言をつぶやきつつ、私はトレントの切り株によいせと座った。あー、うっそうとしてた森が切り開かれて晴れた青空が良く見える。どうなってんのここ? 本当に空になってんのかなぁアレ。
と、気になった私は空に向かって浮き上がって見ることにした。
が、数m浮かんだところでふと危険を感じて止まる。
……おやぁ? 天井があるぞ。んん? こいつは一体。
見えない、透明な天井をぺしぺしと叩く。間違いなく天井だ。しかも触った感触は岩。気付かずに飛び上がってたら頭をぶつけて痛いことになっていただろう。天井が。
このままぶち抜くのもアリかとおもったが、それはつまりダンジョンの壁や天井をぶち抜くってこと。上に人が居たら落ちて面倒なことになるので、やめておこう。
どうやらこれは、あくまで固定された空間で、空はVRの再現みたいな、そんな感じのようだ。……ふむ、空間魔法でもできそうだな。日光を取り入れる窓を作るくらいは考えてたけど、ここまで環境を再現する空間を作るのは発想が足りていなかった。勉強になるなぁ。
私も今度、収納空間内で日光浴ができる海水浴場でも作ってみよう。女児水着を着たディア君とか観賞したいし。ビキニもいいが、ワンピースタイプがいいな。その方が女児っぽい。股間のふくらみがギリギリ隠れる
と、私の切り開いた広場に誰かやってくる気配。モンスターではないな。冒険者か?
これはマズイ、ソロで暴れてたのがバレると色々面倒くさい。そっと逃げてしまおう。
「えーっと、奥へ進む道はどこじゃろなっと」
私は空中に浮いたまま光学迷彩で姿を隠し、ダンジョンの奥へ続く道を探った。
――――――――――――――
(4月になったら書籍化作業のため更新一時止まるやも。少なくとも毎日更新は3月いっぱいで終わる…ッ!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます