ホットケーキ食べたくなってきた……
行商としての仕入れは何にすべきか。それが問題だ。
基本は持ち運ぶ先には品薄で需要もあり、多く安く仕入れられる物だ。
例えば靴下なんて最悪だ。なにせどこの教会でも安定品質のものが手に入るため、わざわざ運ぶ意味がない。綿などの原材料を教会に収めるくらいしかできない。
逆に、その街でしか手に入らないような特産品があれば安牌だ。それが需要のあるモノであれば最高にベスト。完璧にパーフェクトな交易品だ。
……でも、ソラシドーレの特産品ってなんじゃろか? 分からん。私には何も。
というわけでソラシドーレ商人ギルドへやってまいりました。
分からなきゃ知ってる人に聞けばいい。っていうか私、商人としては基本的に商人ギルド関係でしか取引してない気がする。
そういや奴隷購入の手続きをしなければいけないし、カウンターで聞いてみるか。
「すみませーん、奴隷購入したんで手続きを。あとカルカッサに行くんで、仕入れるのにおススメの品教えてください」
商人ギルドの受付嬢さんにダイレクトに聞いてみた。
「ギルド証を拝見します。……ああ、奴隷商から連絡来てた中にありましたね。追加しておきましょう。それと仕入れについては免状があればお酒と塩ですが……」
あいにくとどれも持ってない。うーん、残念。
抜け穴としては取引相手が免許を持っていること。ギルドで仕入れて、ギルドで卸すのもアリではあるが、この場合数は厳密にチェックされるし、利率もよくない。
ヴェーラルドではギルドの弱みに付け込んで相場で買い取ってもらえたけど、ああいうのは例外な方だ。
「うーん、となれば薬草でしょうか。ポーションの原料になるのでどこから持ち込んでも慢性的に需要があるはずです。これ以上の情報はラウンジで情報交換して仕入れてください」
「はーい、ありがとうございます。あ、それとソラシドーレの特産品ってなにがあります?」
「蜂蜜酒ですね。2、3本であればここでも購入できますよ」
お酒が特産品だったのか。
酒も塩も免許は特別な許可が必要になってくるからなぁ……マリア婆にお願いしたら免許貰えるかもだけど、ショーニンとしてはダメか。ちゃんと正道で稼ぎたい。
え? ディア君からお金借りて奴隷買った上にヒーラー紹介して返金してもらうのは正道かって? 奴隷の掘り出し物は今じゃないと見つからなかったかもしれないからセーフなんだよ! それとも何? アイシアをほっとけば良かったってか!?
って、誰にキレてんだろうか私は。まぁいいや。
「他に私のギルド証で買える特産品あります?」
「なら蜂蜜でしょうか。余る分は酒造に回されるのですが、そのリュックに入る分くらいは取引できるでしょう。……ただ重いので、量を運ぶなら馬車が必要になりそうです。お持ちですか?」
なるほど、蜂蜜酒があるなら蜂蜜もあるか。
よし、今回はその線でいってみよう!
* * *
養蜂はハチをテイムするというファンタジー養蜂だった。
そりゃこういうの意思疎通できると色々捗るよねぇ。思ってた以上の大農園。
ギルドで養蜂家を紹介してもらい、蜂蜜を仕入れた。
量としては小で銀貨1枚、中で銀貨5枚、大で銀貨10枚。さらに素焼きの
大を4個で、瓶と合わせて銀貨44枚だ。ローションの売り上げをほぼ突っ込んだ。
そして蜜蝋も銀貨1枚分買ったのでローションの売り上げは全部消えた。
……これ、バッグ補修してなかったら絶対底が抜ける重さだぞ。どっちにしろ空間魔法使うからいいんだけど。
さて、蜂蜜の味見味見……甘ーい!
こっち来てから甘味ってフルーツ系でしか食べてなかったけど、蜂蜜は比べ物にならない『甘さ』パワーがある。糖分って素晴らしい!
「あー、泣ける甘さだぁ。……ホットケーキ食べたくなってきた……」
アツアツのホットケーキをバターと蜂蜜で幸せに彩るんだ。できれば生クリームも欲しい。……どこかで食べられないもんかねぇ、無かったらホットケーキミックスから作らなきゃだ。
ベーキングパウダーって重曹だよな? えーっと、重曹って石だっけ? あれ、ホットケーキって鉱物?……あかん、さっぱり分からん。
スッとリュックの隙間から顔を出したカタログが目に入る。
なんであるの? お前収納空間においてあるはずじゃん……と思いつつおもむろに開くと、ホットケーキミックスが一箱5SPだった。
うーん神様商売上手。
……いや我慢するけど? カリーナちゃんは我慢できる女なんやで。
ただ、現状1000SPもあって、ディア君やアイシアの靴下納品予定もあって、あと二人にホットケーキご馳走するのを考えたら、笑顔のための5SPくらいは経費だと思うの。
あとカタログの機能確認というか。神様に直接注文しない場合の注文ってのも試さないといけないじゃん? だからこれは必要経費なんだよ。自分へのご褒美っていうの? そういうの大事じゃん。ね?
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