第52話 将棋AI越えなんてのはない

 将棋の棋譜や終局図を見てネット動画に「AI越え」なんて言葉がよく書かれているが、AIは実は万能ではなかったりする。


 AIというのはプログラムであり、プログラムを組んだ人の癖、考え方が反映されている。

 現在の叡王戦えいおうせんの前身に「電脳戦でんのうせん」というプロ棋士 VS AIの棋戦があったのだが、そこで現在の永瀬9段がプログラム上、損になるはずの「角成らず」という手を指した。

 大駒である、飛車と角は成ることによるデメリットがなく、それを考慮せずにプログラムを組んだため、その一手がプログラムの外の一手となり、AIがフリーズしてしまった。


 今の藤井7冠がよく金や銀、大駒と一手の交換をすることがある。この場合、AIには一手得と、駒損のどちらが重要視して組まれているのかで、全くその手の評価が変わってくる。


 へぼ将棋 王より飛車を かわいがり


 昔聞いたことのある川柳せんりゅうであるが、まさに終盤の手得、手損と駒の損得の価値をAIがどう判断しているか?その価値基準の違いを、藤井7冠はプログラムの癖と見て、駒を手番と交換している。

 この状況を理解しないと、AIは完璧であると考える人にとっては、藤井7冠には勝てなくなる。


 昔のアニメにおいて、AIに「平和を願う心」を入力しなかったために、AIの反乱が起こるなんて言うのがあったが、AIもプログラムされていない角度からの指し手には対応できていないのではないだろうか?というのが私の出した結論になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る