第五話 ログイン

 ダンボールの中を開けるとそこにはフルダイブ機器の本体であるヘッドセットと外付けのハード、安全面のために心拍数や血圧が一定の値になると危険と判断して強制ログアウトさせるための電極が入ったシールがあった。


 驚くべきことにハードと電源以外に接続する配線が無いことに気付いた。「電池切れたらどうするんだよ」と思いながら取扱説明書を見ながら準備をしているとなんと接続している自分の身体から発生する電気エネルギーで動いているという様なことが書いてあり、つまり充電不要ということが書いてあった、技術の進歩を感じる。


 土日ずっと集中してこもるつもりだったのと俺はゲーム前の準備は万全にしとくタイプなので、はやる気持ちを抑えながら休憩中の飲み物の用意やベットの調整など諸々をやっていたらもう午後3時くらいになってきていた。スマホを確認するといつの間にか咲也から連絡が来ていた。


「『お前のこと話したらなんか要もアナクロやるって言い始めたんだけど、これは一緒にやるの当分ムリだなw』『あとくれぐれも初期職業は慎重に選べよ』って、はぁ、まぁ当分はソロでやるつもりだったし良いか、しかし職業か、、」


 俺のVRゲーム歴は3年と割とある方だが内容がフェアルと他にファンタジー系の物が二つくらいなのだがどれも鍛冶師と錬金術師くらいしかやったことがなく、いわば生産職しかやった事が無い。つまりあんまり戦闘職をやったことがない。「まぁ取り敢えずまた鍛冶師でいいだろ、無かったらそん時考えれば良いか」深く考えずに内心でそう思いながらベットに横たわり、昨今のフルダイブゲームは遊んでいる最中に急に外されたりすると危ないので小型カメラと警報を鳴らすスピーカーが仕込まれているらしいがそんな事が分からないような機械的ながらも丸みを帯びたデザインのヘルメットのような機器を頭に被る。これで準備は整ったいよいよダイブだ。

 

 深呼吸しながらゲーム開始の言葉を言う。


「Another chronicle online、ログイン」



『生体情報を更新、前登録者との情報との違点を確認、データを初期化します……完了しました。再登録を始めます。まず初めに名前を登録してください。』


 無機質な音声を聴きながら目を開けると白い空間が広がっていたその中に簡易な椅子と机が置かれてありその中で座っていた。俺は簡単に顔や足を触ろうとしたが身体全体が透けているようで感覚がない。どうやらこれからキャラメイクが始まるらしい。手元に浮いたウィンドウタッチパネルで名前を決めていく。


「えーと、『レイン』よし決定っと」


 いつも使っている名前を書いて決定を押すとウィンドウが消えて小さな淡い緑色の光の玉に薄く線の入った羽根のようなものが生えた物体が出てきた。


『レイン様ですね。わたくしはサポートAI.No.12klc呼称『ナビー』です。以後お見知り置きください。ここからはわたくしがレイン様のサポートを行います。』


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