Another Chronicle Online-ガチ生産職なのに何故か剣聖と呼ばれてます。-
黯輪ねる。
プロローグ どうしてこうなった…
キンッ、キンッ、ザシュッ、ファァン、ドーーン!!
剣が交わる音が絶え間なく響き、時折破裂音や突風が吹き荒れる音が耳に入る。しかしそんな生死を賭けた戦いから発する音よりも大きく響き圧倒するのは…
『ウオオオオオォォォォォォ!!!!!!!!!!!』
そう、耳が破裂せんばかりの大歓声。今戦っている者達への激励と煽り、そしてこの状況への歓喜やただ声を上げたい者もいる。
ここは闘技場、そして今行われているのはこの世界《ゲーム》VRMMORPG『Another Chronicle Online』でのワールドイベント第二回闘技大会、通称『ランキング戦』だった。
そして、つぎの出番を待っている選手のいる控え室の中に忙しなく辺りをソワソワとしている男がいた。彼の出番は次の一戦で勝ち上がれば決勝トーナメントに上がれるところまで来ていた。
ソワソワしているのは緊張などではなく、実際にはただ早く帰りたいが為に自分の番が早く来ないかと待っているだけだった。
彼がこのランキング戦に参加している状況は極めて特殊というか奇怪と言うしかなかった。
彼は前線で戦うプレイヤーではなく、鍛治師という前線を支える生産職である。それが何故この世界でもトッププレイヤー達がこぞって参加するランキング戦に参加しているのか。何故生産職なのに決勝トーナメントあと一歩のところまで来る事が出来ているのか。
それらのほとんどは彼の友人のある人物のせいなのだが、彼はその事には気付かず今日行うはずだった鍛治仕事についての考え事をしながら。控室にぽつんとある椅子に座りながらこう思うのだった。
「はぁ〜、なんで俺がこんなことやってんだろ、そして…」
彼の名前《プレイヤーネーム》はレイン、彼を知る友人からは「鍛治狂い」、また彼の職業を知らず戦いで知った者からはこう呼ばれ始めていた…
『剣聖』と。
「あーー、早く工房に帰りたいよーー!!」
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