不明瞭

遠くに遠くに映る世界は幻だった。

近くに映し出された像は池の中にあった。


遠くを覗くと衣が出てきた。

引っ張ってみると朽ちた木がみっしりと生えていた。


遠くを叩くと甲高い破裂音がした。

なでてみると絹のような手触りだった。


遠くに耳を澄ますとカラスの鳴き声が聞こえた。

叩いてみるとスズメが逃げた。


遠くからカレーの匂いがした。

あおいでみるとお花畑にいる気がした。


遠くに遠くに響く世界は宇宙の果てだった。

近くで聞いた声は商店街の店主だった。

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