否定されし国

 ある時、ある国...

入国を為す二人の旅人がいた....。

一人は黒髪の少年、ルア

もう1人は銀の髪の女性、シュネー

あと、肩乗りドラゴンのファネ。

『こんにちは!旅人さんですね!サイン後に待機室にてお待ちください!』

まぁそんないつもの流れである。

近くに国がもうひとつあるので、

この国の後に行こうと思っている...

補給は二度に分けて...何故なら、

片方がやたら安いなんて事があったら

やはりショックだからだ。

しょうもない理由ではあるが...。

この国は多分物価高めだが、

旅人割なるこの国のシステムにより、

多少の支払いは優しくなる....

潤った国の十八番である。

さて、先述の通りこちらでも補給を...

ガソリンと、非常食だ。

乾パン以外に何か探すが...

レーションぐらいしか見当たらない。

GUILDギルドの売る特殊冷凍解除装置フリージメロゥがあれば...

特殊な凍結魔法で状態を固定した野菜を、

好きなところで戻して食べられるのだが....

もちろん、そんなモノ無い。

ちなみに、

その凍結魔法とやらを使った野菜は

灼熱に晒しても溶けないと言う...が、

その凍結魔法の解除法は、

完璧に社外秘な為、他社も模倣ができず、

やはりGUILDのフリージメロゥが無いと...

溶かすことは叶わないのだ。

商売が上手いと言わざるを得ない。

「こんにちは...いい天気ですねぇ...」

気付けばシュネーが話しかけている...

『やぁ、こんにちは...旅人さんかい?そうだね、いい天気だね...』

「あ、そうそう...次に行く隣の国について...何か情報ないですかねぇ」

と住民の男は少し顔をしかめる...が、

ちゃんと質問には答えてくれた。

『...あの国....は良い所では無いぞ....ヤバい奴多くて....絶対に治安も悪いし...面白味も全然ない...前行った時はガッカリだったよ...』

「へぇ...それはそれは....」

『この国で補給も全部揃えた方がいいと思う....じゃあ、この辺りで』

「あ、は〜い....ふーむ」

「何かありました?」

頭にドラゴンを載せたルアがシュネーの元へ

「それがだね?」

と...先程の事を聞く......。

「まぁ...一人の意見じゃあ...ですよね?」

「いや、いろーんなヒトから聞いたが皆この調子だよ」

「えぇ....」

「だが、私達は行かねばならないから...明後日...ここを出ようか」

「そうですね....。」

そうして本日も宿へ向かう...

普通に見つけて来た宿だが、

まぁ特にツッコミどころも無いか.....。

シャワー浴びて観光プランを立て、

「おやすみ~」

「おやすみです。」

きゅカカカッおやすみなさい(ファネの鳴き声)

「え?そんな鳴き声初めて聞いたんだけど」

「.....同意見です。」

この日は終わった。


 翌日、特に何もない...

二分の一な補給が完了し、

それぞれ適度に娯楽を楽しんだ。

聞いた話からだと...

”お楽しみ”をする事もできないと...

そんな事言われてしまったので。

という訳で更に翌日、遂に踏み込む。

たたたたたたたた....

鋼のポニーはやはり軽快に唸って駆ける。

近くの、隣の...と言っても....

流石に国だ、

離れているモノは離れている。

「見えてきましたよ.....。」

「さてさてさてさて.....!」

城門ではいつも通り係員が佇む。

『こんにちは!旅人さんですね!サインを記入後、待合室へとお進みください!』

指示通り待合室へ向かう...

「本当にヤバい奴ばっかなんですかね....。」

「を、少年、そーゆーの言わないのよ」

「あ....すみません!!」

『では旅人さん良い観光を!』

入国、先ずは宿探し....

心做しか宿がおんぼろに見える...が、

気にしたら負けである。

シャワー浴びてマップ見てプランニング、

そうして二人は寝た。

ファネは少し飛び回って遊んでいたが、

しばらくして静かに落ち着いた。


 では、観光と参ろう。

先ずは、補給....物価は確かに高い上、

大正義旅人割はこの国には無い。

が、

『あらあら、旅人さんかい?坊やも若いのに立派だねぇ....はいおまけ付けておくねぇ』

と買ったビン詰めに加えて乾パンが追加、

また別の店では....

『ガソリン補給かい?ふむ...この車ならこちらの方が合うだろう.....ところでオイルは交換するかい?負けておくよ?』

と鋼ポニー君も元気に....。

ここでルア達は思った。

普通にいい国じゃんけ........と

幾つか他の店も巡ってみたが、

其れでもこんな調子である。

もう少し長く滞在期間を付けても、

全然良かったかもしれない。

店をめぐる途中シュネーは、

何人かの住民に話を聞いた....

「....隣の国ってどう思います?」

『え?隣の国だって?....あそこはね.....良い国だと思うよ!お金もあるから、僕たちの国よりも充実してるんだろうね....あっちの国には行ったのかい?行ったのなら僕たちの国をどう思ってたか聞いてたりする?』

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