続、鋼の怪物

 日焼けた白の外骨格に包まれた

鋼の竜は木々を這うように進んでいた。

さて、走り出してからそれほど

時間は掛からなかった。

森が捌けるとそこには

2本の鉄の線に乗った箱が

2つ横に並べてある。

奥の方には鉄の山ができている。

開けたところに竜はしゃがみ込むと

背中の鋼ポニーの載った荷台を降ろした。

少し離れてもう一度屈んだ。

ポニーと竜の双方から主達は降りた。

「よっと...」

最初に降りたのは、

銀の髪を持つ凛とした顔付きの女性。

彼女の名はシュネー...

シュネーは後部座席の少年をアシストし、

その少年は特に何も無く大地に足を付けた。

この少年、ルアは...ルア達は旅人だ。

『さてさて?どうなってるのかなぁ?』

と工具を持ってボンネットを開けた。

じっくり眺めると俄に作業を始めた。

『プラグかな〜キャブかな〜ブローはしてないからね〜』

そこからは、大変手際良く終了した。

「へぇ〜早いな...」

『ふふんっ!どうだいっ』

さて、行きますか...。

え、待って...

「なんでですか」

『折角で久々のお客さんでしょう!もてなさねば、無作法というもの』

「襲ったのそっちじゃないですか」

『あぁ、まぁまぁまぁまぁまぁ... いいじゃないのほらほらー』

「あ、ちょっと...」

ふんふんふーんとか言いながら

師匠もついてくる。

そういう流れかと大人しく

引き摺られることにした。


 お茶が出た。

『お腹空いてんでござんしょ?』

コトっ

ご飯の上に細いなんか細い奴と芋、

そして黒いソースが掛かった料理が出た。

彼女曰くもやーしライスだそうだ。

畑で作ってるらしい。

食べながら僕達は、なんで襲ったのか問うた。

彼女もギルドに追われていた。

つまるところ勘違いであった。

追われる原因は例の竜だと言う....

分類、監視級古代異装。

古代異装の時点で無論魔法は効かず、

その上であの頑強なボディである。

魔法協会牽制の為には

喉から手が出る程欲しいだろう....。

ギルドの車輌等が通る度に、

手当り次第破壊して回っていた。

今思えば目と口の鮫のような

ペイントが、その頭部に成されていた。

最近は森には誰も寄り付かず、

音沙汰無く過ごしていた様だが、

急な旅人の訪問に焦り確認も無しに

飛び出した訳だそうだ。

「まぁ、被害と云う被害も押さえられたからセーフって事で」

「はい、そんな感じですね。」

『いやはや…お手数お掛けしました....。』

暫しの沈黙

『あの、お名前をお聞かせくれませんか...?こんなに話したの本当に久しぶりで...』

「僕はルアです。そして、こちらが。」

「師匠こと、シュネーだお好きにお呼び〜」

『はいっ!僕は...私は....キャディですッ!」

「よろしくです、キャディさん!」

お嬢さんって言ってない

数少ないヒトでちょっと嬉しい

「よろしく!風呂!沸かしといたからさぁ共に入ろうぞ!お近付きの...って奴ですなっ!」

「アハハハハ...遠慮しときます。」

「ぬ?ぬぬぬ!?はうぁっ!!もしやオトコノコってな!?わはやはやそりゃそりゃはぁああ!?危うくじゃった!!ま、別に私は良いけど...」

うぐっ

「私は〜?」

「「要らんです」」

「冗談冗談〜へへへ...」

つかの間の団欒だ。

今宵は泊めて貰う事になった。


 開けた宇宙の写真を撮り、寝た。

そして日が昇る。

朝ごはんまで出して貰った。

パンにハムとキャベツのようなものを、

シナッシナにしたものを挟み軽く味を付けた。

所謂シンプルなサンドイッチだ。

しょっぱさの加減も中々に丁度良い...

食事を済ませた。

出発の時に機械いじりが好きか聞かれた...

勿論「はい」と答えた、

キャディは満足気に頷いた。

「同士!.......また、どこかで」

「その時は僕の愛車の整備...頼みますよ?僕より遥かに腕が有るよ...。」

「そいつはサンキュー!褒められるたぁ初めてだ!でも....今度こそチップ貰うからね!覚悟するんよ!」

「へへへ....」

「さぁ行こうか少年」

「はいっ!」

どるっだたたたたたたたた...

軽快に走り出した。


 対面から巨大なトラック3台、

戦闘の車の窓から手を振られた。

....なので停止した。

『なァこの先に森はあるかい?』

頷いた。

『わかった、ありがとよ』

通り過ぎ際に、

荷台の檻に入った2m大の怪物が

1台に2体ずつ載せられ、

最後尾の車両だけが、

何やら不思議な機械を載せてあり、

運ばれていくのが見えた。

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