誤った国
「あの...師匠....これは?」
黒い髪にターコイズブルーの瞳の少年...。
彼の名はルア
「さぁ....分からないものはねぇ...」
質問に答えるのは
銀の髪にパステルピンクの瞳の女性。
彼女はシュネー...
2人は旅人だ....
死体の山、腐った匂いが散らばり、
砕けた城壁が道を覆う。
炎が上り、空は曇る。
破けてペンタグラムが描かれた旗が
城だったモノに斜めに刺さる。
「ちょっと気持ちが悪いです....車に戻ります......。」
「あぁ...」
生き残りがいるのかも怪しい
怪しくてもいる時はいる...取り敢えず探す
「───ん....」
何かの群れ...オオカミか人か
瓦礫の間から長距離狙撃用スコープを覗く
毛むくじゃらの2足歩行生物が300m先...
獣人系...イヌ型は割と群れる
「話聞くか....っと」
瓦礫を滑り降りる
「獣人系は探知距離がよくわかんないからなぁ...」
目が合った気がした。
「あぁ....」
こちらに来るようだ
いくら獣人族とは言え殴り殺しかねない...
「攻撃の意思無いよー!!」
と呼びかけた
あぁ...止まらない
構えをとると言葉とで矛盾ができてしまう。
両手をあげて
「話をさせてー!!!」
と声を出す。
ちょっと緩んだか....?
こちらもゆっくりそのまま歩いて近づく...
相手は2m程の身長、
もし話が聞けない脳筋系だったら......。
いやよそう....。
「どうもすみません、旅の者です。少し話を聞きたいと思い」
『...そうか、この国の有様のことだろう?』
「そうです。」
『ふん、まぁいいだろう...ごく簡単なこと...
「簡単にありがとう...まぁ...何故こうするに?」
『あぁ、我らは元は近くの村で暮らしてたのだがある日、星印の旗を掲げたヒト共が武器を持って村を火の海にした』
『そうよ!!だからやり返して殺ったの』
『奴隷になんてなるものか!!』
「あぁ〜落ち着いてください...どうぞ続けて」
『そう、奴隷として捕らえられた我らは運ばれている途中で力だけを頼りに運び屋を殺し脱出、我らの村を火で埋めた者共への逆襲をしたのだ」
「はぁ...そうですか...気の毒と言うのも失礼ですね....」
『あぁ気にするな、我らはこの地を建て直し、我らの国とする。死んで行った我が同族達の分まで我らが生き延びて見せよう!!』
雄叫びをあげる獣人達
「まぁ...私はここで」
『1ヶ月後には広大な城が建ち、豊かな強い国に成っているだろう!そのうちまたここで会おうではないか....!驚かせてあげよう!』
再びの雄叫びが静けさを崩す
別れを告げその場を離れる。
ミゼットの中でルアが
顔色悪く縮まっている
鼻も良いし感受性も高い...
まぁしょうがないか
「ほら少年、寝るならテントで寝ろ...」
「あ、師匠...」
「この先こんなんじゃすまねーぞ」
「すみません....」
「謝んないでいい、変われ私が運転する」
「げ...いいです!僕元気です!!ほらテント入ってください!!!」
「いや、この私が華麗に乗りこなして見せよう...」
「あぁああ!ダメです!!ほら乗った乗った!置いてきますよー!」
「ちぇ...よいしょっと」
クリーム色の小人がエンジン鳴らし走り出す。
血みどろの国を後にして....。
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