銃撃戦の国:Phase[4]

 ばたっ....

「....ッ!!!」

急に倒れたぞ....!?

血が出てる....肩から...急所は外れたみたいだ。

「大丈夫ですかッ!?」

「どうした少年!」

黒髪の少年、ルアの元に

急いで銀髪の女性が駆け寄る。

すたっ

「...んと...血が出てるか...。少年のポケットに大きめのハンカチ入ってたろ」

「そういえば! 」

四つあるポケットのひとつに

仕舞って置いたハンカチを受け取り、

シュネーは撃たれた男の腕を強く縛り付ける。

「大丈夫か...んーとなんて呼べば...じゃあライフルさん!あなたライフルさん!いいね?ライフルさん、応急処置はしたので多分大丈夫だと思うが...できるだけ動かないように!」

『...あぁ...ありがとう』

「ったく....」

シュネーは辺りを見渡す。

どこから撃たれたか...男はどう倒れたか..

弾が当たった位置、

反動で一度倒れそうになった向き....。

「そこかな...?」

街の中から撃たれたようだ...。

どの家からかの検討はつかない。

「師匠!!僕はこのヒト...えとライフルさんをもう少し見ておきます...任せても良いでしょうか...?」

「お....了解!ライフルさんを頼むよ、少年」


 シュネーは一旦地に降りる。

だいたいの方向に向かって進んでみると...

パリん!

通り過ぎた模擬店のビンが割れる。

「いたっ!」

影はそこから逃げ出す。

シュネーも追いかけるが...

「隠れるのが上手いな....」

乾いたストリートを挟んで平屋が並ぶ。

雲が出てきたのか段々と空が暗くなっていく。

「御天道様に心配かけちゃいかないね....おーい....実弾くーん......出てこいよ....。弾だけでもいいからさー....おっと」

ずがぁああん....

「危ないねぇ...でもそれで!」

たったったったたっ!!

走り出た先はバーを模した場所。

そのままカウンター机に、

ジャンピングサイドキックを打ち込む。

木製の机を派手にぶち壊す。

「見つけた!」

『...ッ!』

ずがぁああんっ!!

「焦っているね?」

首を傾げておき、

撃たれる直前に首を逆に傾ける。

首1個分余裕に避け下の影を見つめる。

「まだ若いね」

『若いよ』

その青年は鋭い視線でシュネーを睨むと、

彼女に負けず劣らずの力で蹴りあげた。

「おぉ.....」

すかさずその青年は

持っていたリボルバーを放つ。

手元にあった椅子を投げつけ、

シュネーは弾を防ぐ。

視界から消えると同時に青年は消えた。

シュネーは再びストリートに出る....と


 そこに青年は居た。

「君、何しに来たんだい?」

『殺しに来たんだよ』

きっぱり返される。

「いーや、舌戦とかそういうの苦手だから...そうきっぱり返されると言葉がな.....にしても...私が狙いかい?」

『なんの話だ?僕は殺しに来たと言っている』

「何人殺した?」

『どうだろうね.....適当にグサグサしてほっといてる...まだ生きてるかもね?どうだろね?』

妙にワクワクしたような喋り方をする...

こいつはただの快楽犯か...?

「へぇ...で、どさくさに紛れて?」

『まァそんなとこさ...君は殺せないね?僕の事...ほら見てよ魔法石だ!!写影石の!!みんなに見られてるねぇ...君が殺せば.....いやなんでもない』

「自警団まで敵に回すのは面倒臭いかなー...あでも...殺さなきゃいいんだ...ところでギルドになんか言われたのかな?」

『ギルド...?なんで...僕は楽しい事したいだけさ』

本当なのかは分からないしどうでもいい。

「まぁいいや...こいよ...ガキが」

『へっ...』

リボルバーを取り出したかと思うと...

じゅ....かきん...

グリップカバーを突き破り中からは...

『これ便利なんだぁ...作ってもらったんだよ特注でね...いや、元は古代異装オリジナルだから...ちょっと違うかぁ...ナイフだけ付けて貰ったんだナイフだけ...使いたい時はナイフだよ?使いたい時はリボルバーだ?』

「あそー...興味無いです...あ、少年なら好きかな...」

『じゃあね...ッ!!』

だったったったッ

常人とは思えない加速で、

ナイフを突き立てようとする。

しかしシュネーは...。

「この瞬間の為だったんだァ!!」

謎の台詞と共に背中から

ライフルを引きちぎる様に取り出すと、

そのままの勢いで手首にぶち当てる。

ナイフは弾き飛び、

返すストックで側頭部を殴りつけた。

『ぐあっ!?』

派手に吹っ飛んだ青年の背中を、

ストックで押し付ける。

「君は何か素質があるはずだ、探しに行きなさい....そのうち」

「ししょー!!」

たたたたた...

「大丈夫でしたかー師匠。」

「無事も無事でさぁ」

「取り敢えず椅子持ってきてください。縛りますから。」

シュネーが離れて椅子に触れた瞬間だった。

『この!!!』

男は跳ね上がるように直立すると、

手に持っていたらしい全長40mm程の物体。

それを吹っ飛ばしたルアに向けると、

とんとんとんとんとんとんとん!!

『ちっ』

ルアの目に向かって、

真っ直ぐ飛んで行った筈の2.7mmの粒は

間に入った木製の何かに阻まれて止まる。

木製の何か...いや、さっきまで

シュネーが持っていたライフル銃は、

遠くに飛んでいき柱にぶつかって止まった。

『ああああ!!』

だが青年はまた手をルアに向けると、

今度は70mm程の銃を袖から滑り落とし...

「間に合わなそうか?」

銃の引き金を引く...が

だっしゅうう!!

逆に銃が弾け飛んでしまった。

『くそっ!!くそぉぉお!!!』

青年は大地に倒れこむと、

すかさずルアは後ろ手で縛って、

そのうえ持ってきた椅子に縛り付けた。

「あ、あぶなかた....。」

普通に泣きそう。

シュネーが敵に目を付けつつ...

ルアの頭を軽く撫でると....。

じゃきっ....

「じゃあね」

だだだだだだだだ....

ルアの短機関銃でモニター場送りにした。


EXT












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る